ゴジラ対自衛隊 〜映画の中の自衛隊〜

幻のクーデター未遂事件


 1983年2月21日の衆議院予算委員会で社会民主連合(当時)の楢崎弥之助衆議院議員が自衛隊によるクーデター計画があったと暴露した。1980年6月、政治不信や日米安保体制への不安などを理由に一個師団が動員され、首都・海上を完全に封鎖し、制圧するという恐るべき計画であった。

 3月になると「東京新聞」や「週刊サンケイ」も、クーデター計画が実在したとの立場からの報道を行った。それに対して「週刊新潮」はクーデター計画に疑問を投げかける記事を掲載。それを受けて愛知県警が捜査を開始。容疑は「官命詐称」であった。ある人物が、現職の自衛官を名乗り、楢崎議員や、「東京新聞」「週刊サンケイ」に偽の情報を流したというものである。

 その人物は1979年に交通事故をでっち上げた詐欺事件を起こしていたことが判明し、6月17日に全国指名手配。7月11日にNHK職員に付き添われて出頭した。この様な事件起こした理由は金であった。東京新聞は謝罪広告とともに編集局長以下9人の処分を行った。楢崎議員は新聞に謝罪広告を出したものの、同年の総選挙、翌年の福岡市長選に落選した(1986年に衆議院議員に返り咲いている。)。また、逮捕された男は、楢崎議員より金銭を受け取ったと証言したが、それに対しては否定している。

自衛隊事件簿