ゴジラ対自衛隊 〜映画の中の自衛隊〜

防官文第4206号通達(2010年11月10日)


 2010年11月10日に出された防官文第4206号通達に含まれた内容から「自衛隊施設内での民間人による政権批判発言を封じ込める事務次官通達」といわれ、国会でも大きく問題視された。

 きっかけは2010年11月3日に、埼玉県狭山市にある航空自衛隊入間基地での航空祭で「航友会」の会長が、約3000人の招待客を前に、「民主党政権は早くつぶれてほしい。皆さんも心の中でそう思っているのではないでしょうか」などと発言。「航友会」は、自衛隊を後援する民間団体である。この発言を伝え聞いた北沢俊美防衛大臣らは激怒し、防衛省に「隊員の政治的中立性の確保について」と題する中江公人事務次官名の通達を出させたという。

 通達では発言を自衛隊法などの「政治的行為の制限」違反との誤解を招く「極めて不適切な発言」とし、政治的行為と誤解されることを行わないよう参加団体に要請したり、誤解を招く恐れがある場合は参加を控えさせる、などの対応策を示していた。しかし、それは、自衛隊に来賓が何を発言しようとしているのか事前に"検閲"を求めているのに等しく、憲法19条(思想信条の自由)に反していると身内の防衛省内局や、自衛隊幹部やOBからも反発の声が上がった。当時野党だった自民党も撤回を求めたが、北沢防衛大臣は「言論封殺とは全く考えていない」と答弁し通達の撤回を拒否した。

 防官文第4206号通達は自民党政権に代わった後の2013年2月19日付をもって廃止された。

自衛隊事件簿