ゴジラ対自衛隊 〜映画の中の自衛隊〜

バトルシップ(2012年)

DATE

2012年劇場公開

監督:ピーター・バーグ  脚本:ジョン・ホーバー  エリック・ホーバー

キャスト   アレックス・ホッパー:テイラー・キッチュ  ストーン・ホッパー:アレキサンダー・スカルスガルド  レイクス:リアーナ  サマンサ:ブルックリン・デッカー  ナガタ:浅野忠信  シェーン提督:リーアム・ニーソン

内容にはネタばれを含んでいます。  解説・感想  ストーリー  映画の中の自衛隊


【解説・感想】

 2012年公開のハリウッド映画。突如侵略をうけた地球。孤立した戦艦の乗組員たちの奮闘を描く。ユニバーサル・ピクチャーズ100周年の記念作品として製作費2億ドルルを費やした超大作だったが、評価はかんばしくなく、アメリカでの興行収入は6500万ドルにとどまったという。本作には、海上自衛隊の一等海佐役で浅野忠信が出演しており、反撃の糸口をつかむ重要な役どころを好演している。そのおかげか、日本では人気のある作品でもある。

 映画を見た感想としては映像は超A級、ストーリーはB級と言った感じ。壮大な物語に相応しい美しく迫力ある映像だった。いい意味でも悪い意味でもストーリーは大味で、宇宙人の侵略と戦う軍人と民間人。そこに、兄弟の確執とか、国籍を超えた友情と信頼とか、上官の提督の娘との恋愛などが詰め込まれた、いかにもハリウッド好みの作品と感じた。

 本作では、1992年に退役し現在はハワイで展示されているミズーリ号が稼働し、宇宙人の戦艦に攻撃する展開となっている。ミズーリ号は、第2次世界大戦、朝鮮戦争、湾岸戦争でも従軍した。第2次世界大戦の終結に際して、日本が連合国への降伏文書に調印したのも、ミズーリ号の甲板の上だった。

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【ストーリー】

 アメリカで国際ビーコン・プロジェクトが立ちあげられた。太陽系の外に生命の存在する可能性のある惑星が見つかり、地球からの交信を試みようとしたのである。それは、地球から異星に対して位置を教えるような行為の危険性を指摘する声がなかったわけではなかったが、それは無視された。ハワイ・オアフ島の施設からの送信が始まって数年が経った。

 2012年、環太平洋合同演習(リムパック)が開催されようとしていた。世界14ヶ国の海軍将兵2万人が参加する大規模な合同軍事演習である。その中に、アメリカ海軍所属のミサイル駆逐艦ジョン・ポール・ジョーンズ号のアレックス・ホッパー大尉の姿があった。大尉は、この演習が終わったら恋人のサマンサとの結婚するために、彼女の父親のショーン提督の許可を得ようと考えていた。ところが、提督に言い出すきっかけをつかめないまま、演習に参加している海上自衛隊の護衛艦「みょうこう」の艦長であるナガタ一等海佐と喧嘩沙汰を起こしてしまい、演習が終わったら結婚どころか軍を追放されかねない窮地に陥ってしまう。アレックスは同じくアメリカ海軍所属の駆逐艦サンプソン号の艦長で中佐の地位にある兄のストーンに助けを求めるが、これまでにも何度もアレックスの軽率で愚かな行動に頭を悩まされてきたストーンは、アレックスに愛想を尽かして罵倒する。

 そんな時、宇宙から地球に向けて5つの正体不明の物体が地球に向けて飛来する。1つは人工衛星に衝突してバラバラになって世界各地に落下して大きな被害をもたらした。残りの4つの物体は演習海域周辺に出現した。その正体を調べるために、サンプソン号、ジョン・ポール・ジョーンズ号、そしてみょうこうが偵察に向かう。しかし、それは宇宙からの侵略者の母艦であった。その母艦は、周囲にエネルギーフィールドを張り、3隻はその中で孤立してしまう。強力な電波妨害によって戦闘能力を著しくそがれた3隻の戦闘艦に対し、宇宙船の母船から出現した3隻の大型機動兵器が、次々と攻撃を仕掛ける。サンプソン号は沈没し、ジョン・ポール・ジョーンズ号も沈没は避けられたものの艦長・副長以下主だった士官が命を落としたため、先任のアレックスが指揮を執ることになってしまう。兄を殺された怒りから、無謀な攻撃を敢行しようとするアレックスだったが、みょうこうも撃沈され、部下たちの説得を聞き入れ、みょうこうの乗員の救助と一時撤退を決める。

 宇宙からの侵略者たちはさらに武装を固めた兵士たちがジョン・ポール・ジョーンズ号に乗り込み、苛烈な攻撃を仕掛けてくる。それを何とか撃退したアレックスたちだったが、外部に救援を求めることもできず、敵の機動兵器の位置も分からないという状況を脱したわけではなかった。さらに異星人は次々とハワイ各所を襲う。その頃、サマンサは足を失った退役軍人のリハビリに付き合って山中の散策の途中だったが、そこで宇宙人の襲来を知る。さらに、知り合ったNASAの研究員から研究所が占拠されたこと。研究所から本星へ連絡しようとしていることを知る。今、地球に来ているのは先遣隊に過ぎない。本隊が到着すれば手に負えなくなる。サマンサ達は研究所に侵入し、本星への通信を妨害しようと試みる。

 ハワイ沖でのジョン・ポール・ジョーンズ号と敵の機動兵器の戦いは、お互いがお互いの位置を知ることができないこう着状態に陥っていた。この事態を打破すべく、ナガタ一佐が出してきたアイディアが津波ブイを使った敵の補足だった。津波ブイの動きを見ながら、次の機動兵器の位置を予測し、ミサイルを発射する。機動兵器の撃破には成功するものの、ジョン・ポール・ジョーンズ号は追い詰められ、撃沈される。戦いはまだ終わったわけではない。アレックスは最後の望みを展示されている戦艦ミズーリ号に託そうと考えるが、ミズーリ号の設備はあまりに旧式過ぎて今の乗員にはとても扱えない。しかし、ミズーリ号にはかつて乗員だった退役軍人が集結していた。

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【映画の中の自衛隊】

 この映画は防衛省が公式に協力している映画ではないが、リムパックの実際の映像が使われていたり、冒頭のパールハーバーの場面では撮影の時に寄港していた護衛艦が登場するほか、2010年10月の撮影時に寄港していた海上自衛隊こんごう型イージス護衛艦「きりしま(DDG-174)」と乗員が撮影に協力している。また作中ではこんごう型イージス護衛艦の「みょうこう(DDG-175)」が参加したことになっているが、作中のモデルとなっているのはあたご型イージス護衛艦の「あたご(DDG-177)」である。あたご型はこんごう型の後継艦で、見た目の違いとしては指揮能力向上のためにあたご型の方が艦橋が一回り大きくなっていることと、ヘリの格納庫があたご型には搭載されていること、といったところだろうか。機会があれば見比べてみてもらいたい。

 2010年6月23日から8月1日のRIMPAC2010では日本から「あたご(DDG-177)」の他、むらさめ型護衛艦の「あけぼの(DD-108)」、おやしお型潜水艦「もちしお(SS-600)」、複数のP-3C哨戒機が参加している。モデルが「あたご」だったのはそのためだろうが、それなら「あたご」のままでいいような気もするが、「みょうこう」になったのは2008年2月の「あたご」と漁船との衝突事故に配慮したためだろうか?

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