時折寄せられた質問への回答を「Q&A」として、ここに書き記してみました。聖書や神学に関するものですので、一般の方々には興味ないかもしれません。しかし、質問者以外にも同様な疑問を心に抱いている方々も、なかにはおられることと思いました。
2008年09月29日:「SDA教会とペンテコステ教会、以前は『異端』とされていまいましたが?」という質問について。
Question/0010:
SDA教会、また、ペンテコステ教会は、以前は「異端」とされていましたが、今は「異端」として排除されていないようですが何故でしょうか? 

  Answer/0010:
■ 難しい質問ですね。

1.何が「異端」か、に関して、誰が、何の基準で判断するかに、結論が関わっています。16世紀のローマ・カソリック教会からすれば、ルーテル派初め、プロテスタント諸教会は、全部「異端」でした。ローマ・カソリック教会の教理からの逸脱と言うことで、そのような宣言・破門されました。ローマ・カソリック教会の現在の立場は、ヴァチカン第2公会議以来、宗教改革の時代とは変わったと思います。プロテスタント教会の中でも、改革派は、ドルト会議において、カルヴァン主義を批判したアルミニゥース主義を「異端」として、断罪した経緯があります。極端なカルヴァン主義に立つ改革派の教会では、この姿勢は今でも変わっていませんでしょう。
2.以前、プロテスタント諸教会では、SDA教会、また、時としてペンテコステ教会も、「異端」の範疇に入れて、一線を画していました。今では、アメリカのキリスト教界では、一般に、この二つのグループは「異端」とは見なされていないようです。双方の教派とも、一般社会に対して、孤立など、極端な姿勢を取らないこと、むしろ、SDAでは教育事業、医療活動を通して社会に貢献しているなどが、この変化の背景として考えられます。
3.現代の多くのプロテスタント諸教会においては、「基本信条」を正統・異端の判断基準として用いています。すなわち、4〜5世紀のローマ・カトリック教会の体制が作り出される以前の、いわゆる「古カトリック教会」時代に打ち出された信仰基準、に基づいて判断しているようです。
4.エホバの証人は、キリストの神性を否定するアリウス主義を継承することにおいて、また、モルモン教会は、66巻の正典以外に、モルモン経典を基準とすることにおいて、明らかに基本信条の立場と異なるので、「異端」とされています。
5.さて、SDA教会と、ペンテコステ教会に関しては、前者は、確かに「安息日再臨教団」と呼ばれるように、終末論において、また、後者は、聖霊論、殊に、異言などに対する教理において、他の多くのプロテスタント教会と異なる教えを主張しています。しかし、それが「基本信条」からの逸脱かどうかは、判断の難しいところです。現在、多くの教会では、SDA教会、また、ペンテコステ教会を諸教会の交わりの迎えているようです。すなわち、異端扱いをしていないようです。SDA教会や、ペンテコステ教会でも、教勢が増すにつれて、以前のような対立的・好戦的な姿勢を改めて、交わりに加わろうという姿勢を見せていることも、この変化の理由のひとつでしょう。



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. Question/0010:「SDA教会、また、ペンテコステ教会は、以前は『異端』とされていましたが?」
. Question/0009:「『洗礼を受けると何が変わりますか』について」
. Question/0008:「『こころの貧しい人の幸い』について」
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. Question/0004:「原罪」について
. Question/0003:「御霊の証し」について
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. Question/0001:「四重の福音」について


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