| 1日 | 207句 | 
 
          
  | 愚かなる者と 道を共にするは 長途に憂いあり 愚かなるものと 居を共にするは 怨敵と共にすむがごとく まことくるしみなり されど賢き人と共に住むは 親族と相逢うがごとく まことたのしみなり | 愚かな者と伴い行くは長途で苦しむ。愚かな者と一緒におることは憂いこと、それは敵と同居するようなもので苦しみが絶えない。反対に賢い人といることは親族と逢うように楽しい。 |  | 
    
      | 2日 | 208句 | 
 
          
  | されば かしこくして智あり 他に聞くこと多く 忍褥を知り 戒をたもつ聖なる者 かくのごとき上智の善士に 月の星道を行くがごとく 随い行くべし | 賢い人、智ある人、学識ある人、忍耐強い人、道徳を守る聖者、このような善良で知恵深い人、それは月が星の道を守るように従って行くがよろしい。 |  | 
    
      | 3日 | 第十六品209句 | 
 
          
  | 道ならざるに 自ら順い 道あるに 自らたがう 義とすべきをすてて 好むところにつくもの やがて彼は 自らの道にそうものを ねたまん | 道に外れたものに心を寄せ、自ら静思しなければ物事の本質を忘れてただ放縦になり、やがて道に沿い歩む人を恨むようになる。 |  | 
    
      | 4日 | 210句 | 
 
          
  | 愛する者と 相会うなかれ 愛せざるものとも 会うなかれ 愛するものを 見ざるは苦なり 愛せざるものを 見るもまた苦なり | 愛すべきものに執着してはいけない。愛しないものにつていも同様である。それは、愛するものわ見なければ悩み、愛しないものを見ればまた悩むからだ。 |  | 
    
      | 5日 | 211句 | 
 
          
  | されば 愛するものを持つ勿れ 愛するものを失うは げにわざわいなればなり 愛するものも 愛せざるものもなくば かかる人に まつわりというものなからん | 愛するべきものを作ってはいけない。愛するものを失うのは禍である。何ものも愛せず、何ものも憎まぬ人にはこうした桎梏はない。 |  | 
    
      | 6日 | 212句 | 
 
          
  | 愛より うれいは生じ 不安は生ぜん 愛を 超越し人こそ 愁いなし かくて いずこにか おそれあらん | 愛することから悩みが生まれ、恐れが生ずる。愛することから解脱した人には最早や悩みはない、恐れがあるはずはない。 |  | 
    
      | 7日 | 213句 | 
 
          
  | 親しさより うれいは生じ 親しさより 不安は生ぜん 親しさを 離れし人に うれいなし いずこにか また おそれあらん | 愛することから悩みが生まれ、怖れが生まれる。愛することから解脱した人には悩みはない。怖れがあるはずはない。 |  | 
    
      | 8日 | 214句 | 
 
          
  | よろこびより うれいは生じ よろこびより 不安は生ぜん よろこびを 端なれ人に うれいなし いずこにか また おそれあらん | 喜びから悩みが生まれ、愛情があるから怖れが生まれる。愛から離脱すれば悩みはない。かかる人にどうして怖れがあろうか、もはやない。 |  | 
    
      | 9日 | 215句 | 
 
          
  | 愛欲より うれいは生じ おそれは生ぜん 愛欲を 離れし人に  うれいなし いずこにか また おそれあらん | 愛欲から悩みは生まれる。愛欲から恐怖は生まれる。愛欲から離脱した人には悩みはない。どこにも怖れはない。 |  | 
    
      | 10日 | 216句 | 
 
          
  | 渇愛より うれいは生じ むさぼりより おそれは生ぜん むさぼりを 離れし人に うれいなし いずこにか おそれはあらん | 渇望の愛は憂いを生む。貪欲が怖れを生む。貪欲をやめれば憂いは去る。どこに恐れがあろうか。 |  | 
    
      | 11日 | 217句 | 
 
          
  | 浄戒と 正見をそなえ 法の依りて生活し 真実をかたり 自らその業をなす人 世は かかる人をこそ 愛するなり | 道徳と知見を兼備し真理に基づいて真実を語り自らの義務ほなす人をこそ社会は愛してやまない。 |  | 
    
      | 12日 | 218句 | 
 
          
  | 言説をこえたる法に 念願をもち 意はみたされたり もろもろの愛欲に こころ著せざるもの 彼こそは上流の列に 座を占めん | 言葉では表せない精神の自由の思念を起こし、思いも充たされ、色々の欲望に束縛されない人を上流に達したと言うべきである。 |  | 
    
      | 13日 | 219句 | 
 
          
  | 久しく異境にありて すこやかに かえりきたれば 親族 朋友 愛人はひとしく かえりきたれる者を よろこび迎う | 長い間、異国にいた人が元気で帰郷した時、親族、朋友、愛人は喜び迎える。 |  | 
    
      | 14日 | 220句 | 
 
          
  | まこと かくの如く 善きことをなし この世より 後の世にゆける人 その善きわざに迎えられん 愛するものの戻りしを 親族の よろこび迎うるごとく | これはちょうど、善いことをしてこの世から後の世に生まれる時、彼は祝福されて迎えられる、愛するものが帰ったように。 |  | 
    
      | 15日 | 第十七品221句 | 
 
          
  | いかりをすて たかぶりを離れ ありとある結をこえよ ひと若し 概念と形式に 著するなく まこと 所有の思いなくば かかる人に すべてのくるしみはきたらず | 怒りを棄て、高ぶりを払いのけよ、あらゆる束縛を乗り越えよ。このような概念や形式に支配されない所有の無い人に苦悩は決して訪れない。 |  | 
    
      | 16日 | 222句 | 
 
          
  | 人 若し まさに怒れるを押え 奔る車を止めるごとく ととのえなば われ初めて彼を 御者とよばん しからざるひとはただ 手綱をもつものなり | はしる車を止めるように、こみ上げる怒りを自制するもの 、この人こそ真の御者である。この他はただ手綱を持つだけである。 |  | 
    
      | 17日 | 223句 | 
 
          
  | なごやかさによりて いかりに 善きことによりて 善からぬことに 慈恵ごころによりて 善からぬことに 慳ごころに しかして 真言によりてのみ われら虚言の人に克つべし | 怒りに勝つには優しさ、悪に勝つには善を。吝嗇の人には慈悲を、空言多き人には真実、このようにして克服せねばならぬ。 |  | 
    
      | 18日 | 224句 | 
 
          
  | 真言をかたり いかることなく 乞われなば 持つものよし少なくとも おのれのすべてを与うべし この三事によりてこそ ひとびとは神々に 近づくを得ん | 真実を語らねばならぬ。決して怒ってはならぬ。持つものが少なくとも求められたら全て与えなさい。この三つで神々のもとに行けるであろう。 |  | 
    
      | 19日 | 225句 | 
 
          
  | もろもろの 牟尼は つねに身をつつみ 他をそこなうことなし かかる人々は 愁いというものなき 不死の所に至らん | 誰をも傷つけることなく絶えず身体を制し、慎む賢者たちは不変の所に行く、何ものも悩みなき聖地に。 |  | 
    
      | 20日 | 226句 | 
 
          
  | ひと若しつねに目覚め 昼にまた夜に 学びにいそしみ 涅槃をえんとつとめなば もろもろの まよいは 尽くべし | つねに目覚めた意識で昼夜となく勉学し悟り?精神的自由-を得たいと努める人は盲目的衝動が消え去る。 |  | 
    
      | 21日 | 227句 | 
 
          
  | アツラよ こは 古より謂うところ 今日に始まるにあらず 「ひとは黙して座するをそしり 多くかたるをそしり また 少しくかたるをそしる およそこの世に そしりをうけざるはなし」 | おお、アツラよ、「人は黙って座っているものを誹る。多弁を謗る。無口さえもそしる。この世の中ではそしられざる者はいない」 |  | 
    
      | 22日 | 228句 | 
 
          
  | ただ 一向に そしらるる ただ一向に 讃めらるる かかるもの 過ぎゆきし日にはあらざりき 今もまたあらざるなり やがて 来ん日にもあることなからん | つねにただ謗られたり 誉められたりするような人は 過去、未来ともないであろう、現在にもない。 |  | 
    
      | 23日 | 229句 | 
 
          
  | 「彼は賢し 行うところ過失なく 智慧と戒とをそなえたり」 と若しかくのごとく 心あるものによりて 日に日に分別えて ほめたたえられんには | 見識ある人が行いに欠陥なく、知徳を具えて日々誉められるならば、 |  | 
    
      | 24日 | 230句 | 
 
          
  | 閻浮提金の銭のごとき かかる人を 誰かそしうるものぞ 諸神も この人をたたえ 梵天もまた この人をたたえん | それはちょうど、純金で作られた飾り物のように誰がこの人をそしることができようか。神々すら彼を誉める。また至上の天神・梵天さえも誉める。 |  | 
    
      | 25日 | 231句 | 
 
          
  | 身のいかりを まもり 身をつつしみ 身になすべからざるを 棄てて 身になすべきことを 行うべし | 動作に現れた怒りを守り防ぎ、よく動作を慎みなされよ。動作になす悪行を除き動作に善行を進修しなさい。 |  | 
    
      | 26日 | 232句 | 
 
          
  | 語のいかりを まもりて ことばを つつしむべし いうべからざるを 棄てて いうべきを いうべし | 言葉に現れる怒りを防ぎ、行動を慎みなさい。悪い行動をしないで良い言葉を使いなさい。 |  | 
    
      | 27日 | 233句 | 
 
          
  | 意のいかりをまもり 意をつつしむべし 思うべからざるを 棄てて 思うべきことを 思うべし | 思いから起きて来る怒りを防ぎ、意思を制して慎む、意思により起こる悪念を除去して善い行いをしなさい。 |  | 
    
      | 28日 | 234句 | 
 
          
  | その身をつつしみ そのことばをつつしみ その意をつつしむ これらの人こそ おのれを護る 賢者とはいう | 言動をよく慎み、意思をよく統御できる人こそ賢者であるる |  | 
    
      | 29日 | 第十八品235 | 
 
          
  | なんじ今や 黄める木の葉のごとし 死王の使者 汝の傍らに立つ なんじ今 門出の戸口に立つなり されど 爾には 旅の糧あるを見ず | お前は黄葉した木の葉のようなものだ。死の神の使いがお前を待って立っている。お前は人生の旅を終えて死への旅の門に立つ、だがお前には旅の食糧がない。 |  | 
    
      | 30日 | 236句 | 
 
          
  | 爾 おのれの燈となれ すみやかにいそしみて 賢き者となるべし けがれをはらい 著をはなれて とうとき 聖地にいたるべし | 汝 自らを灯火とし努めて賢者になるがいい。こうして穢れを払い過失をしなければ悟りの天に往けるだろう。 |  | 
    
      | 31日 | 237句 | 
 
          
  | 壮すでに過ぎて 爾 いま 死王の前に近づけり されど爾 道途 休息うところなし さらにまた爾には 旅の糧あるを見ず | 人生の終わりに近づいているお前だから死の神の前にいる。しかしそれまでに休む折もなく旅の糧もない。 |  |