中国の挑戦をどう見るか。習近平の決意は

習主席、そして中国共産党は、多分、有史以来の千歳一隅のチャンスと思っているであろう。ここはアメリカに対抗する大国としての絶好の歴史的機会と考えている。果たしてそれは成功するのか。 

習近平の表情を観察し続けているが、

1.   並々ならぬ獰猛さを秘めている。

2.   裏では、ワンマン的絶対であろう。

3.   李首相の影が薄くなったことがそれを立証している。

4.   昨年12月早々、遂に最高指導部であった周永康を逮捕した。決意のほどか読み取れる。

5.   習は、元主席・江沢民閥を追い詰めつつあるのではないか。為に、胡均とうと裏で組んでいるのかもしれぬ。本当の相手は江沢民であろうと見る。

6.   三権を表面的には把握しているが、果たして軍部の実権を握ったのか不明だが、最近、軍部の粛清が多発しているのを看て取ると、着々と実権把握が実現しつつあるのかもしれぬ。軍部の幹部が次々と自殺しているのはその兆候であろう。中国軍部が汚職摘発で大揺れの様相ほ呈している。

徐才厚という上将を汚職で摘発していたが、この残党狩りが開始されれば、習近平の本当の相手がやはら江沢民ということになると言われる。

どうやら、「喰うか喰われるかの死闘」になってきつつあるように思える。それは、米国シンクタンクのブルッキング研究所の中国専門家がシンポジウムで習近平政権を分析しているが、

「中国は虚弱な国家」であり、習近平政権は「安定した政権ではない」という意見であります。次ぎの「権力闘争」に勝つまでは足許は危ないようであります。

7.   次ぎの権力闘争に勝てば、習近平は、過去の皇帝の如き実力ある主席としての地位を固めるのではないか。

8.   江沢民の余生は残り少なく、習近平の全権実質把握は成功の可能性が高い。

9.   問題は、ここ一、二年で破綻もあり得るとされる経済情勢の推移である。

このように実に難しい局面であるが、現実には、着々と外交的にも手を打ってアメリカに対抗する政策を打っている。

10.            だが、歴史の常、世の人の常として、反習勢力はここは音無しの構えだが、名おうての百家争鳴の国である、雌伏の時として耐えつつ反撃の機会を画策をしているであろう。このまま一方的に習権力の確立とは考えられぬ。 

だが、チャイナは、現実は間違いなく、

1.   アメリカに対抗する覇権国としての地位を狙っている。

2.   それは金融による対アメリカに対する構図で明確に理解される。それを見てみよう。

1.「新シルクロード構想」により中華圏拡大を企図している。

2.具体的には「アジアインフラ投資銀行」である。これは戦後アメリカが主導してきた国際通貨基金(IMF)、世界銀行(WB)、そしてアジア銀行(ADB)を含む金融・貿易体制への挑戦である。

3.狙いは北京に靡かせる朝貢外交で盟主を狙っている。これは「シルクロード基金」と申すべきもので戦後通貨システムのブレトンウッズ協定への正面からの挑戦以外の何ものでもない。

4.2025年から2030年の間には、実質国内総生産では米国を抜き世界一になると言う気負いと自惚れが最近の首脳会議で露骨であるという。

5.近隣諸国を軍事力で脅し上げたと、インフラ投資するとか、新シルクロードと称してカネをばら撒き北京に靡かせる朝貢外交を狙っていると欧米の新聞は中国の手の内を簡単に見透かしている。

6.習近平のいう「中華民族の偉大な復興」との表明は、巨額の現ナマで裏付けている。東南アジア諸国連合で「運命共同体」を作り上げたいと発言し「21世紀の海のシルクロード計画」を提案している。具体的には202年に115兆円に及ぶ貿易高だと述べている。

要するに、米国と対等の立場で張り合うことを画策している。

我々、日米欧優位の現今国際金融システムは耐えられるのか。

IMFの議決権比率を見てみよう。

 中国  3.8%  米国 16.8% 日本6.2

アジア開発銀行の議決権比率は

 中国  5.5%  米国 12.8% 日本12.8

ここに中国の欲求不満があろう。

現在の中国の外貨準備は460兆円である。これは実に脅威なのである。

アセアン10ヶ国は凡て中国に取り込まれたとと思ったら、インドネシアの新大統領のウッイドドはこの新銀行に不参加を表明した。外交的には強攻策を示している。これに中国は衝撃を受けており中国の対アセアン政策は再構築の必要性に迫られている。 

軍事力を背景にした札束外交であろう。

APEC首脳会議で習主席は

 今後10年間で海外投資は150兆円と述べた。三倍であり、資本輸出国への役割を果たすとも述べた。 

安全保障面以外でも、日米対中国の新しい覇権争いが起きつつあるのだ。

        平成27年元旦

     徳永日本学研究所 代表 徳永圀典