1月10日 人生航路は
親切に我々を救うる者は即ち先覚であり、書籍である。先覚は我々に先んじて荊棘多き心の路を開いて行った人である。我々は彼によって活きた人生の体験にふれることができる。書籍は先人が後昆のために迷妄を去って自己の真性を発揮する所以を教える物である。その意は飢えたる者に食を与え、病める者に薬を与えた、暗き者に燈を与え、跛者に杖を与えるにある。我々が書を読むにあたっては必然にこの飢えたる者・病める者・暗に迷える者、跛行せる者のごとく、救いを求める切なる心がなければならぬ。
王陽明研究