112日 清新

 春になれば若葉が()え、夏になれば若葉が薫る。この時、何人も清新を感ずる。清新とはつまり活発な創造、健やかな生命の(すがた)にほかなりません。しかるに創造の作用、生命の活動は絶えざる分化であって、分化は抹消化するほど、生命が希薄になり、創造が鈍る。故に抹消化し尖端化することは直ちにうつろいやすく、散りやすい。従って新はたちまち(ちん)となる。真に新たなる為には、たとえば「ときは」(常葉)に「かきは」(堅葉)なる為には、根ざすところ深く、生々(せいせい)の力に満ちておらねばならぬ。されば詩は、自己の純真な性情より発するものでなければならない。

                 漢詩読本