116日 学問しつめた人

 英傑は非凡の気迫力量才幹を以て功業を争うものであるが、多く気に任せて、深く心を練るということがない。君子は功名富貴を念とせず、学問情熱を旨とする。

 その学問とは何であるか、窮して困しまず憂えて意衰えず、禍福終始を知って惑わぬ心術を養うを本義とする。英雄は自ら君子たるか、必ず君子を師とするか、いずれかでなければならぬ。君子はまた大いに器量を養って、内に練熟する所おのずから外に発し、英雄を服するだけの品威を具えねばならぬ。  百朝集

 

 英傑大事に当たっては固より禍福生死を忘る。而て事適々成れば則ち亦或は禍福生死に惑ふ。学問情熱の君子に至っては則ち一なり。 大塩中斎 洗心洞箚記