正月の万葉歌 

何と申しても、因幡国守・大伴家持の「寿ぎ歌」ですが、これは初回にやりましたので、今一度、歌いましょう。因幡の歌です。新年早々のリズミカルな歌。 

(あら)しき 年の始の 初春の

    今日降る雪の いや()吉事(よごと) 

新年早々です、「豊の年」もあります。巻17-3925

葛井(くずい)諸会(もろあい)と言う人です。 

新しき 年のはじめに 豊の年

    しるすとならし 雪の降れるは 

天平18年正月、白雪多に零りて地に積むこと数寸なり・・・西暦746年の正月は大雪でした。--199頁。 

「大宮の内にも()にも光るまでふれる白雪見れど飽かぬかも」とあります。これは大伴家持の歌です。 

こんな歌もあります。

「ふる雪の白髪までに大君に仕へまつれば貴くもあるか」     左大臣橘宿弥  

言霊の国・日本

柿本人麻呂 巻13-3253の長歌です。

葦原の 水穂の国は (かむ)ながら (ことあげ)挙せぬ国 

しかれども 言挙ぞわがする (こと)(さき)く まさきくませと つつみなく さきくいまさば 荒磯波(ありそなみ) 

ありても見むと 百重波(ももえなみ) 千重波(ちえなみ)にしき 言挙す吾は 言挙す吾は 

反歌

しき島の日本(やまと)の国は言霊のさきはふ国ぞ

       まさきくありこそ 

歌は心の音楽、言霊も万葉集全体に通じる、否、日本の現代にも通ずる大事なことのようです。

一口で言えば、「言葉には霊魂がある」ということ。

「言葉は生きている」、「言葉は命だ」と言うことでしょう。

人間を動かすのは言葉です。だから良い言葉を使えば良い事が起きる、悪い言葉を使えば悪いことが実現するという信仰でありましょう。

だから良い言葉を使おうとしたのであります。