124日 心の養生

 身体と飲食とに注意するだけでは健康にはまだ十分ではない。大事なことはやはり心の養生であります。だから私は一日の中、たとえ二十分でも、三十分でも、専門を離れた純粋な教養の書物、哲人の書や名言・語録、或いは名作、と言った心を養う書物を読むことにしておる。詩一つ、歌一首を鑑賞するだけでも良い。日中忙しかった夜などは、寝床へ入ってそれを楽しむことにしておる。私はそのために、普段から読みたいと思うような書物を前以て机元に置いてある。書物を顔の上へ載せたまま、時に取り落としたまま眠ってしまうこともある。これがまた実に楽しいものであります。              身心の学