1月29日 一人信ずるのみ
私が高等学校・大学時代に漢籍などを読んでいると、異端というより、むしろ奇物変人視されたものである。「かって極めて少数の者にしか通じそうにない学問を、何の為にそう熱心に没頭するのかと問われて、私はこう答えた。私には少数で十分だ。一人でも十分だ。一人もいなくても十分だと」。
爾来私は出世街道を断念して、ひたすら内心の至上命令にしたがって生活した。
今日また依然として多忙を極めた生活であるが結局昔の通り、究境の希望といえば、やはり青山佳なる処、万巻の書を擁して著作に没頭し、閑に杖を曳き詩を賦することである。 王陽明研究