13日 心優しい好ましい妻

 ホーソンは税関検査官を三年やっていたが官制改革の都合で浪人することになった時、家に帰ってそのことを話すと、貧乏には懲りている筈のソフィアがどんなに困った顔をするかと思うと途端に彼女は、「まあ、それじゃ復た本が書けますね」と嬉しそうに答えた。彼が、「そりゃそうだが、本を書いている間の暮らしがね」と言うと「それはちゃんとこういう風に」とヘソクリの貯金を見せた。悪妻鈍妻に悩む男の涙の出るような話だ。彼はその日から有名な小説、緋文字、THE() SCARLET(もん) LETTER()を書き始めたということである。善哉(ぜんざい)善哉(ぜんざい)。 世界の旅