1月31日 桜島
満日熔厳妖気昏(まんじつようげんようきくら)し
島中処(とうちゅうところ)として消(しょう)魂(こん)ならざるなし
此の身まさに是れ魔神なるや否や
薄暮(はくぼ)凝然(ぎょうぜん)石門(せきもん)に立つ
いつしかに白髪ふえたる長兄の
面ざし父にいや似たるかも
帰り来てまた老いましし父母を
心の中におろがみて見る
夢に見し聖の跡に尋ね来ぬ
その如月の梅薫る朝
(二月十三日のこと)
童心残筆