16日 一隅を照らす その二

 自分が座っている、存在しているその場所、片隅でも自分というもので明るくする。私はこれを「一灯照隅行」、自分が一つの灯になって一隅を照らす行と申しまして、私どもの師友会同人の生活、行動の指針、一原則に致しておるのでありますが、心ある者がこの問題を自分の問題にして、自分が自分の一隅を照らしてゆこうというのであります。

それぞれ発奮して、大きいことを望まんでいい、各々一隅を照らす、自分が存在する、活動する分野の、即ち片隅において、自分が灯明になる。一隅を照らす、そうすると、千人千灯、万人万灯になる。一隅を照らす人が万人出れば、よく国を照らすに至る。そこで、一灯照隅、万灯照国の行を提唱しているのであります。

           安岡正篤先生講演集