10月6日 卑しむべき功利観念

 学者に取って一番気をつけねばならぬものは志である。世は科挙(官吏登用試験)で士を取る試験勉強を免れない。然し、試験の得失はその技量と有司の好悪如何とか問題となるので、試験に依って君子を小人とを弁ずるようなことはない。この卑しむべき功利観念を脱却することが出来なければ、たとえ如何ほど聖賢の書に親しんだところで、志の向かうところは聖賢と反対である。      東洋倫理概論