通貨と為替は権力現象だ!

現在の世界覇権国は米国、ドルは覇権通貨。第二次世界大戦以前の覇権通貨は大英帝国ポンド。私は住友銀行入社当初から本店外国部に在籍、ドルディーラー、ポジション操縦も経験、外資系担当等10年経験した。当時は1ドル360円、英国ポンド1008円、現在値は夫々107円、135円程度と円価値は国力回復と連動して上昇し隔世の感がある。

大戦で国力を消耗、植民地しか持たぬ英国は戦争で極度に疲弊した。著名な英国の学者ケインズは米国の一官僚に負けて覇権通貨ポンドを米国に奪取されたと私は認識している。

中国の台頭が著しい、覇権国、覇権通貨を狙っているとの声も聞く。米国は食糧も石油も自前、対する中国は資源は枯渇し石油も食糧も輸入依存度が極めて高い。また世界の普遍性に著しく欠けており中国元の覇権通貨化は無理だと私は判定する。

圧倒的金塊保有の戦勝国・米国も対ソ冷戦、ベトナム戦で疲弊し、1971年ニクソンショックで金兌換を放棄、中国接近を試み現在の変動相場制へ移行した。竹下首相の頃、高度成長中の日本は、プラザ合意で円切り上げに同意し一挙に1ドル152円程度となる。円価値上昇だが、大きな国富喪失も意味するが高度成長中であり日本は経済的打撃を吸収し乗り越えた。

それまでは保有外貨残高が
100億ドル切ると直ちに日銀は強力な金融引き締めをやり国内金利は上昇、輸出ドライブへ転向した。現在外貨残高は1兆ドル超と隔世の感がある。


ソ連崩壊後、クリントン政権は恰も冷戦日本防衛代金請求の如く金融攻撃、日本は長い不況に苦しんだと私は洞察する。自分の国を自分で守らぬ国に正当な経済自主権さえ発生せぬのは歴史の真理。

「通貨・為替とは権力現象、従って為替など政治・軍事為替だ」と喝破する。

日本は世界覇権など求め得ないが真の独立国へあらゆる体制を整えねばならぬ。

       徳永圀典 88才、元都銀支店長 

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