情報について

寄ると触ると「どうするんだ、どうなるんだ」と言いますが、いくら集まって情報を集めて点検してもどうにもなりません。昨今は情報時代と言われて、各方面の情報を収集しますが、これがまた短所欠点でもあります。 

例えば医療機関が発達したため人体の分析的研究が盛んになって、患者を診断いるのに時間がかかるようになりました。患者が病院へ行きますと、先ず血液検査だ、尿の検査だ、レントゲン検査だ、という具合に夫々専門に回されてデーターを取られる。 

そのデーターを集めて主治医が診察診断を行うものですから、ひどいのは一週間も十日もかかります。従って、診断を下された時はもうもう患者の生理状態、病理状態というものは随分変わっております。 

本当の医者は直感と申しますか叡智が働いて、この患者はここが悪い、ここが既に危険状態にあるからすぐ手当てをしなければならない、という具合に適切に処置するものであります。これが全く逆となるものが多い。 

要は直感的、英断的

今日の時局についても同様でありまして、いくら情報を集めても、問題そのものはどんどん進行していきますから、解決策は出来たが既にその方法では、間に合わないということがあります。

要は、直感的・英断的に行動し、処理することであります。個人の病理も、社会国家の生理も同じであった、局面に当る人の内容、実力が問題であります。やはり学ばなけれぱならぬということであります。

                 安岡正篤先生の言葉