徳永圀典の書き下し「日本国体論」その四

平成20年10月

1日 亡国の原因は

これは英語での思考に慣らされることであり、母国の感性を喪失することに通ずる。長い目で見れば民族の本質をも喪失する、日本はその崖っぷちにいる。

2日 伝統復古こそ最重要 その道は「復古」である。その手段は、国史、先祖の歴史を学ぶことである。日本の国の生まれたルーツを学ぶことである。
3日

それらの窮極の始点・原点、日本創生の大元が「天皇」であることは自明のことになるのである。まず、ここから始めなくてはならぬ。

4日 国の自我・独自性

個人に「個性」があり「自我」がある如く、国家にも、固有性・独自性がある。

5日

個人が自我と個性を失うことは、「自己崩壊」である。同様に、国家にとって固有性・独自性を失うことは、国家の滅亡・消滅を意味する。

6日ー
11日
日本の「文明的大失敗」 日本人よ、それでいいのか。日本を愛し誇りを持つという国民が世論調査では、80パーセントから90パーセントを占めている。それならば、日本の先祖、国の成り立ち、天皇、そして祖先の歴史を正しく学ばなくてはなるまい。国史は、祖先の事績は、外国に指導されなくて良いのである。
キリスト教国に聖書の無い家はなく、毎日曜日に協会に礼拝に行かない人はない。
マホメット教国にコーランの無い家はなく、一日五回の礼拝、毎週金曜日の教会に礼拝に行かない人はない。彼等は、「人生の五柱」と呼ぶ「清浄・礼拝・断食(一ヶ月間)損課、聖地メッカの巡礼」を行わない人もいない。
東南アジアの小乗仏教国は、国民皆僧主義をとり、男子はすべて二ヵ年僧侶となり宗教的訓練を重ね、夫々各国固有の道を基盤として独自の国民精神を確立するのである。 
12日

ユダヤ教にいたっては、全世界各国に散在する全ユダヤ人を、亡国二千年後の今日、尚、旧約聖書に流れるユダヤ精神を以て、一糸乱れずに強力な民族的統一団結を計る努力をしている。

13日

その一つは、自由国家群をユダヤ三大宗教の一つであるキリスト教で牛耳り、一つは共産主義国家群をユダヤ精神のマルクス主義で支配しているといわれる。

14日

ユダヤ人は亡国した、然しユダヤ精神は全世界を二分しつつ全人類を決定的に支配していると言えるのではないか。

15日 魂を作る努力が皆無

然るに、日本は、このように人間の魂を作る努力が皆無である。何らの方策も無い。これは日本が、四方海に囲まれて、他民族に侵略されたことも迫害されたことも無かったことに起因する。

16日 今尚、米国命令を守る日本の左翼

然も、敗戦後、アメリカ軍に物理的支配を受けた上に日本人の民族としての伝統・文化の排除命令をいまだに遵守しているからである。

17日

その上現代は電波、航空、思想、政治、経済等悉く国際化しており「アイデンティティの欠けた日本人」は、このままでは自己崩壊寸前にいるのである。 

18日 精神的、思想的な空き家の日本

自己の何たるかを知らぬ日本人ばかりとなっているのだ。日本人は生命、財産、国土を保有していても、「精神的、思想的な空き家」になっているのである。 

19日

魂の抜け殻ばかりの日本人なのである。魂の抜け殻であれば、やがて国際的圧力に左右され、滅亡解体されるのは必至であることは歴史が証明している。

20日 魂の根源

では、日本が亡国の悲運を免れるためには、魂の教典が必要である。その魂の根源は、「日本固有の道」をしかと確認することである。

21日 神道と天皇

日本固有の道とは何か、それは、「神道と天皇」に自然と帰着するのである。それが、否でも応でも日本人なのであり日本なのである。

22日

だが、日本は、明治以降、西欧文化に接触するに当り、最大の弱点を暴露してしまったのである。そして敗戦によりそれが加速され今や日本人は「民族の魂」の消滅状態に到来しているのである。 

23日

日本は有史以来、数千年間、国家的、宗教的役割を果してここまで繁栄をもたらしてきた「天皇」を、愚かにも権力的存在であると錯覚して、特に戦後は、民族固有の叡智ある世界に冠たる、独創的な「天皇」をその歴史と共に抹殺し否定しようと戦後の進歩的文化人、現代は、民主党、共産党、社民党なとが巧妙に動いているのである。 

24日 日本の独自性

もし日本人が、この日本の独自性を喪失してしまつたら、「日本民族の滅亡は決定的」になるのは必定である。

25日 日本再生の原点

過去百年間の、欧米模倣が過ぎたために日本は行き詰まったと言えるのである。この自覚が日本再生の原点なのである。

26日 中国

中国に関しても同様なことが言える。古代から確かに日本人は中国の影響を受け自主的にかの文明を摂取し利益も得た。 

27日

だが、同時に、日本は多大の弊害も蒙ったのである。それは余りの中国文化摂取と模倣し、過度に憧憬し崇拝し、心酔する余り中国中毒症状も呈している。

28日 半植民地的模倣国家・日本

また、幕末以来、日本は、欧米諸国へ余りに極端に接近し、欧米依存度が強くなり、日本の主体性を消失するまでに至り、「半植民地的模倣国家」に堕落したのである。

29日

明治初年以来、百年以上も、只管、欧米文化思想を模倣し、制度的文物はもとより、精神的なものまでも、徹頭徹尾模倣し、欧米流の国家に組織してしまった。国民思想を根本から編成替えしてしまつたのである。

30日

民族的道統と帰一すべき中心を失った日本は、明治から大正へと進むにつれて深刻となり、ただ外来の、合理主義、実証主義、唯物主義を無批判に導入したのである。

31日

欧米的なものは、善なるもの、正しきもの、新しきもの、とされて、日本的な、古きもの、無用のもの、役立たぬものとして取り扱ってきたのである。かくして欧米化が日本全土を覆ったのである。