十七条憲法の実際

十七条憲法は、おおむね各条ともに冒頭にまず心得の要点を述べて、その心得の必要性、精神について詳しく説明するという形式で記されています。そこで、全文を紹介すると余りに長くなるので、ここでは各条の要点部である冒頭部だけを引用します。

第一条 和を以て貴しとなし、(さか)ふることなきを(むね)と 

せよ。

第二条 (あつ)く三宝を敬え。三宝とは仏・法・僧なり。

第三条 (みことのり)を承りては必ず謹め。君をば天とす。 

臣をば地とす。

第四条 群卿百寮(ぐんきょうひゃくりょう)、礼を以て(もと)とせよ。其れ民を治むる(もと)(かなら)ず礼に在り。

第五条 (さん)を絶ち欲を棄て、明らかに訴訟を(さだ)めよ。

第六条 悪を(こら)し善を(すす)むるは、(いにしえ)の良き(のり)なり。

第七条 人各任(おのおのよきし)有り。(つかさど)ること(みだ)れざるべし。

第八条 群卿百寮(ぐんきょうひゃくりょう)、早く(まい)りて(おそ)退(まか)でよ。

第九条 信は()(ことわり)(もと)なり。事毎(ことごと)に信有るべし。

第十条 忿(こころのいかり)を絶ち(おもえりのいかり)を棄て人の違を怒ら 

ざれ。

第十一条        功過(こうか)を明らかに()て、賞罰を必ず当てよ。

第十二条        国司(くにのみこともち)国造(くにのみやつこ)百姓(ひゃくせい)(おさ)めとること     勿れ。国に二君なし。民に両主なし。

第十三条        (もろもろ)の官に任せる者、同じく職掌を知れ。

第十四条        群卿百寮(ぐんきょうひゃくりょう)(うらや)(ねた)むこと有ること無かれ。

第十五条        ()に背きて公に向くは、(これ)臣の道なり。

第十六条        民を使うに時を以てするは、古の良き(のり)なり。

第十七条        ()れ事は独り()むべからず。必ず衆とともに(あげつら)うべし。