相に就いて その四 

「形相」の最終講じゃ。

「凡そ、偏体(へんたい)揺頭(ようとう)蛇行(だこう)(じゃく)()腰折(こしおれ)(こう)(わい)はよからず」 

要するにだ、立派な人物になろうと思えば、身体の形の相を整えなくてはならんのじゃ。 

身体を傾けたり、始終、首を振ったり、歩くのもジクザグに歩いたりするのは、人品上からも決して人の上に立つ相ではない。 

自信がない場所とかに行くと、人間てぇのは、大抵、蛇行する。真っ直ぐに歩くのじゃ。畳の(へり)を中心にして正しい歩き方の稽古をすると好い。 

雀とか鼠のように、チョコチョコとかピョンピョン歩きは見っとも無い。

女性に多いが、腰折、項歪、腰を折って、(うなじ)の曲がったのも好くないなあー。 

形から見た人間の諸相を列記した、一々、もっともなことばかりじゃ。

こういう諸点を観察総合し、洞察し直観をして人物を見抜くのじゃ。

                   岫雲斎