海洋国家・日本の行方へ

1.  日本は島国であり大陸国家ではない。朝鮮半島はユーラシア大陸の半島であり大陸圏に属する。朝鮮半島は有史以来、中国の政治動乱に翻弄され侵略を受け続けてきた。近世までの李王朝5百年は中国の忠実な、否、儒教的には清王朝など漢民族でなかった為に韓国は寧ろ儒教の主流意識さえあった。韓国が朝鮮戦争の侵略国・中国に謝罪を求め得ないのは旧宗主国に位負けしているからである。

2.  日本は中国とは海洋を隔てること900キロ、故に大陸の政治動乱は直接の影響を受ける事がなく独立性を維持し続けてきた。聖徳太子の中国皇帝への文書「日出ずる国の天子、書を日没する国の天子に捧ぐ、恙無きや」に見る如く、常に対等で、従属することなく過去二千年間を過ごすことを得た。これは日本国の自主性、主体性、矜持、独立覇気の根源であり、島国の小国ながら堂々たる国家として二千年間今日まで独立国としてこられた真因であり我が国の原点てである。

3.  ユーラシア大陸の西の英国も日本と同様な位置にあるがドーバー海峡は大陸と近いので欧州大陸の政治動乱は日本のように無影響ではなかった。

4.  英国、日本、そして米国は大陸だが海洋国家である。

5.  現今中国は、戦前までの中国とは別もので共産主義により国家も民族も変質した。この中国が、とてつもない経済成長を続けているが、軍事的には、米国に対抗する世界の大覇権的、核保有軍事国家を目指して巨大な軍事費を精力的に注いでいる。本来、大陸国家は攻撃的な潜水艦は不要であるが、大陸棚の石油資源と台湾確保の意識が強烈で海洋国家的整備を強烈に進めている。

6.  日本の領海侵犯を平気でしする、日本国民の宗教問題やら、教科書にまで政治的に口ばしを入れるという内政干渉を堂々とする。これは実に許しがたい、彼らは百年単位の戦略思考を持って、敗戦の影響が強く残る軟弱な日本を今の中に叩きのめしておくのが中国の国益との思考でやっている。これは韓国とて同様と見てよい。竹島、尖閣、沖の鳥島などに口ばしを挟むのは今が歴史的チャンスと見ているのだ。

7.  どの国も理不尽なまでに国益を、道義など無関係に主張する。日本は政治家も外交官も精神誠にひ弱で国益に命懸けが無いから脆い。だから安倍総理の如き人物が選ばれた国民的合意があるのだ。

8.  日本が大陸の政治に影響をされるとどうなるか。これは、島国日本はすべて大国・中国の属領的なものとなる。一旦そうなれば、これは千年単位の歴史的大敗北として、過去二千年のあの独立不羈の栄誉ある日本精神は衰弱し消滅しかねないものとなる。

9.  要するに、歴史的に朝鮮半島と同様な地位になることを意味する。韓国はいま急成長の中国に大きく靡いている。歴史は繰り返す、北朝鮮と韓国は統合の方向に行くであろう。北の核問題は韓国民には捨てがたい心理もあると見る。中国は北朝鮮と結びついている。私は、百年単位で見れば、その結びつきも必ず反動が起きると見ているが。それは韓民族の本質的習性によるものである。

10.  このように見ると、近未来の様相が鮮明に見えてくる。朝鮮半島が中国の属領的になると海洋国家日本は玄界灘が地政学的な線引きの国境となる。即ち敵対的なものになり得る。

11.   故に、日本は、対中、韓、北に、無原則なことにしておいてはならない。日本はあくまで国益を守り主張しなくては危険を招く。現に、ロシアが再び中国・韓国に同調し、反日的に戻りつつある。

少なくとも中国とは毅然としなくては栄光の歴史的日本は消滅する。小泉総理が靖国問題で 頑固に中国とか近隣諸国の意に従わなかったのは民族矜持千年の思考が潜む。これに負ける と連綿たる日本の精神は消滅する。絶対に彼らの意に従ってはならない。民族の悲劇を招来 する契機となる。

12.しからば日本は、自由と主体性と矜持ある民族として生き永らえる為にどうするか。それは七ツの海を支配する海洋国家の米・英国・オーストラリアと親日国で民主義国であるインド等と同盟し中国の影響をモロに受けないようにすることだ。日本は決して中国に隷属してはならぬ、靖国問題を執拗に続けて日本を戦略的配下に置こうとしている事を絶対に忘れてはならぬ。台湾も海洋国家であり、提携して中国に靡かぬようにするのが日本国益に叶う。愈々、日本は真の勇気ある決断の時が迫りつつある。覚悟を決めなくてはならぬ時間はここ一、二年くらいであろう。平成20年がまず、大きな山場となる。

            平成18年10月1日 
                  徳永日本学研究所 代表 徳永圀典