新連載
徳永の「緊迫する国際情勢と日本」B
平成19年10月度

 1日 アメリカのアジア撤退? アメリカはやがてアジアから撤退と中国に総て任せるという見解が強まりつつある。日本は頼りにならないし、韓国は反米親北朝鮮だからというものだ。 その上、中国は西太平洋をアメリカは東太平洋と分割管理まで要求した。航空母艦まで保有する意図もあり、世界的覇権を確立しようとしているのは明白である。
 2日 世界は大きく変わった 米国上院議員の発言チャック・ヘーゲル議員は指摘した。「世界は大きく変わり、日米関係も変わった。今や、日本はアメリカの友人ではなく、利害を共 にする同盟国に過ぎない」と。アメリカは日米同盟で仮想敵国としている中国と経済上の共通の利害を持っている。これはアメリカにとり中国と日本との関係の実質的変化が生じていることになるのではないか。
 3日 トランスフォーメーションの実態 アメリカの変化は、このトランスフォーメーションで明白である。これは日本からの離脱である。基地は不要になりつつある。背景にアメリカの対・中国の真意が見え隠れする。 或いは、北朝鮮がアメリカと韓国以上に親密になりたいと希求しているとすれば、近攻遠緊のまたとない戦略であり朝鮮半島はアメリカのものとなり、中国にとり容易ならざるものとなる。だから中国の日本接近かもしれない。世界は変化している。
 4日 極めて危い日本を取り巻く環境 日本が極めて危険な状況にあると気がついている日本人はどれだけいるのか。現政府もアメリカと話し合う政治家が現存するのか。

日本政府は、政治家も含めてアメリカに甘えすぎているのではないか。日本を客観的に観察する能力まで欠けてしまったのではないか。裸の王様・日本になつているのではないか。 

 5日 国際政治とは暴力世界 このような言い方をしていい程、国家間の力学は暴力である。それをあからさまに見せないような権謀術策を講じているのである。 アメリカとて然り、中国とて然り、ロシアとて然り。まして北朝鮮などあからさまにそうしている。理屈ではないのが国家間の力学である。
 6日 国際社会というのは理屈の通らないところだ。 未来学者のカーンは、「国際社会というのは理屈の通らないところだ。暴力がまかり通っている」と言った。アメリカが反発されるのはアメリカが余りに力の政治を押し通すから である。
処が、日本はそのアメリカに62年間守って貰っていたのである。日本が経済強化に奔走して国際社会を楽に渡ってこれたのはアメリカのその暴力のお陰なのであるのを日本人は忘れている。
 7日 世界の田舎者
小沢一郎
小沢一郎がアメリカのシーファー大使を呼び会談をメデイアに立ち合わせた。これは小沢はいい気分であろうが、日本という自分の実力を知らない「お坊ち ゃん」の手法である。本当は、その国際的に通用する暴力装置―法律もハードである武力の核―を備えてこそ発言可能なのである。小沢一郎は裸の王様である。世界の田舎者と言われても致し方あるまい。
 8日 久間議員と小沢一郎 彼ら防衛大臣の時に発言した、「アメリカのイラク政策は間違っている」と。これね小沢一郎と同様の感覚でありそれにより守られている自分を知らない。これではアメリカが気分を悪くし日本を突 き放すことになる。アメリカは日本を助ける気持ちが消滅してしまつているのではないか。国際社会で日本を後押しするつもりは消滅中であろう。これは実に危険である。国家そのものを危うくする。憂慮すべき状態となつているのではないか。
 9日 日本の力を知らぬ小沢一郎・久間議員 自分の力だけで国際社会を処理できない癖にアメリカに守られて存在している日本なのにそれを忘れている裸の王様・小沢一郎なの である。小沢一郎がお題目のように唱える「国連」などというものでは国際暴力―中国・ロシア・北朝鮮・−などとは対処できない。
10日 日本に迫りつつある危険 第一の危機は朝鮮半島である。アメリカという大きな力の下で日本には直接の災害が寄せてこなかつた。朝鮮戦争は日本から数時間の場所であるのに日本は安全であった。寧ろその危機を活用して大き

く稼いだ。北朝鮮が日本にミサイルを発射した時、日本は驚いたがアメリカの力により守られた。忘れてはいけない。そのアメリカの力が後退したとなれば北朝鮮は何を仕掛けてくるか不明、それに対処するのが政治家であり普通の国家であるが小沢一郎はあんな裸の王様のような態度をとる。 

11日 拉致解決の
国際的基本手段
某アメリカ人の話、日本人が北朝鮮により拉致されたと聞いた時、「酷い、日本人は軍隊を送り、勿論、拉致された国民を取り返すのだろう? アメリカでもイギリスでも有無を言わずそうするであろう。日本にはその力は皆無である。だからこそ、日本人が不正侵入した北朝鮮工作員に拉致されたのである。原点を忘れるな。
12日 二番目の危機 米中の軍事的対決が間もなく始まろうとするのではないか。それは自然の趨勢である。現に必用もない航空母艦を中国は保有しつつある。中国は太平洋を東西に分け西太平洋の管 理をしたいとアメリカに申したという。これは、力の必然の結果として対決することとなる。両雄並び立たずは生物生存の原理である。米中対決の時に日本が取るべき立場を早急に考えておくのが国益であり、政治家の態度である。
13日 米・中対立 中国がこのまま軍事力を増強し続ければアメリカと対決するのは理の当然であろう。これは歴史が証明している。中国は現在は経済開発を急務としており2008年のオリンピック を成功させる為にアメリカに楯突く気はあるまい。
だが、中国は建前と本音の乖離することが実に甚だしい国民性がある。裏で驚異的に軍事費を伸ばしている。2010年以降には米国と対決が開始されるのではないか。
14日 大津波を被る日本

近眼視的島国民族
さて、中国・アメリカの対決となると、その影響は大津波となるのが日本である。日本はその予測を持っているのか。大方の国民は平和ボケであり先般の 参議院選挙に見るような近眼視的に島国民族である。それを考えると、アメリカと密接な関係と対話を構築しておかなくてはならぬのに、政党党首の小沢一郎すらあのような対米発言をする。
15日 アメリカ議会 アメリカの議会の特別委員会では、中国が経済を拡大しているのは、共産党体制を強化するためだと警告しているのだ。 中国共産党体制は専制体制である。それは国民に対する強圧体制であり、やがて不満が蓄積する。反政府運動が増大する。その時、中国は国外で軍事力を使う、先ず台湾、南シナ海の島々か。
16日 中東の危機 第三番目の危機である。日本のイラク批判はアメリカにとり外交上の対立と捉えられるであろう。アメリカがイラクで失敗すれば、

世界は大混乱に突入する。アメリカを批判することが何を意味するのか真剣に考えなくてはならぬ。日本人は鈍感すぎるのだ。 

17日 イラン イランが核装備すれば、それはサウジアラビアが核兵器を持つこととなる。そうなる前にイスラエルがイランを攻撃するであろう。 結果、どうなるか、とてつもない経済上の大混乱に日本は巻き込まれる。そのような事を考えてイラク問題を考える小沢民主党を筆頭に日本人政治家の井戸蛙、弧島音痴を憂う。
18日 アメリカの不満は「主体性の無い日本の安全保障意識」 それは日本が独自の安全保障政策を持たないからだという意見がある。独自案を出してアメリカと話しあわねばならぬ。アメリカの動向をウオッチして行動する日本でなく、日本自身で安全保障政策を 確立しなくてはならぬのである。久間元大臣のように、アメリカの姿勢が明らかにならねば日本の防衛政策が立てられないとは、責任者の言葉として落第である。これでは他国に舐められてしまう。同盟国からも見放される。そういうステージにあると思う。
19日 日本人自身で考えなくてはならぬ国の安全 日米同盟が実質的に消滅しつつあると断定できるのではないか。だが、日本人はその自覚もなく対策もない。 これは安全の空白となる。
アメリカに関係なく、日本は自ら安全保障について対策を講じなくてはならぬのである。その上でアメリカと同盟関係を再構築するのである。
20日 アメリカの逡巡 アメリカの指導者の多くは、現在、中国がどのような世界を作ろうとしているか理解できないでいる。世界戦略的には現在は中国より日本が確実なパートナーだと認識しているであろう。これは国際社会的に安心であると分かっている。 アメリカにとり中国は危険な要素が多過ぎる。だが、経済でも政治でも軍事でもアメリカには対中国に逡巡が見られるように思える。日本から距離をおきつつある。同盟関係を継続する必要はあるが全面的に依存する親子関係から抜け出さなくてはならぬ。クリントン民主党となれば日本は埒外となるのは確実。
21日 世界一流国・日本 最近、マスコミは格差社会などと宣伝し意図があって宣伝している。世界を見渡す限り、日本ほど格差の少ない国は珍しい。 世界第二の経済力のおかげである。るデジタル技術の通信体制は完備し、色々問題はあるが教育水準の高さもどの国より引けを取らない。言論の自由も進んでいる。掛値なしに日本は世界一流国である。
22日 世界四流国・日本 だが、政治は世界の四流であろう。遅れているのである、その仕組みも、政治家の資質も、意識も、視野もである。 彼らは政治力を利用して金儲けするという旧態依然としたものがある。政治資金の透明性など21世紀に相応しくない。日本人は政治家に寛大過ぎる。
23日 日本は臨界点に近づいている 経済は、世界第二の日本だが、その経済力を自分で守っていないことに多数の日本人は気づいていないのではないか。 自分の国を外国に守ってもらいながら、戦後生まれの政治家も財界も、その原点を肌で分からない処に日本の本質的な矛盾、その矛盾が臨界点に近づいている。
24日 安倍総理の失敗 やはり、総理就任の最初の訪問国はアメリカとすべきであった。弱り目のブッシュに、そして日本の繁栄の原点のアメリカと強い連携ある会話をしなくてはならなかった。ワシントンは、やはり世界政治の中心である。安倍総理は対策を間違えた、やはり発言といい 内容といい、足りないものがあるようだ。アメリカの疑心暗鬼が生じている。
どうやら、隠居の身の私だが、離れて遠くから政治や日米関係やら国内政局を見ているからかアメリカが変化していることを政府や政治家よりいち早く感じたのかもしれない。自民党は勿論、民主党の保守派や政府は過去の日米関係の意識のままではないか。
25日 北朝鮮は核保有 北朝鮮は既に数発の核保有していると思う。抑止戦略さえあるのではないか。アメリカはそれを野放しにしようとしている。核拡散の基本政策を外さなくてはならぬ程、アメリカは弱っている。中東問題である。 北朝鮮はその核で、やがて日本を脅しにかかると見ておかなくてはならぬ。それを深刻に思わぬ日本人でありアメリカではないか。その北朝鮮と安易な取引をしたアメリカ、これは日本を蔑ろに下ものであり、国益上の対策が必要である。
26日 朝鮮 日本人は忘れてはならない。北朝鮮は日本への報復を考えている。朝鮮半島の人々は日本に支配された時代を決して忘れていない。屈辱感が刻み込まれているのを忘れてはならぬ。 歴史的にみれば、北朝鮮は日本から受けた仕打ちと比較にならぬ仕打ちを中国から受けている。中国から何度も攻撃を受け、実質的には中国に支配されてきたが反感と復讐心は中国でなく日本に向けている。
27日 アメリカの意識 50年以上に渡るアメリカ軍の朝鮮半島駐留は無駄であったと考えているアメリカである。これが日本人にとり何を意味するか。

真剣に考えているか日本人。アメリカの政治はしばしば急変することがある。日本は朝鮮半島からアメリカ軍が居なくなる可能性を覚悟しなくてはならない。 

28日 朝鮮半島の未来 日本の近代技術そして中国の安い労働力この二つの経済の力に押し潰されようとしている朝鮮半島という見方も出来る。このままでは朝鮮半島は混乱し崩壊するしかない。 そこで北朝鮮と韓国が統一しようとしているのかもしれない。これを近攻遠親外交で利害の一致するアメリカと親密になれば、巨大な中国にも日本にも対抗できると彼らが考えても不思議ではない。
29日 韓国の経済 ノムヒョン大統領の背後にあったのは経済的ナショナリズムだと言われていた。韓国の若者の多くは、韓国経済が日本と中国に押し潰されそうだという認識を持つという。 こうした人々が北朝鮮寄りの政策を進めたのである。アメリカ政府は韓国に閉鎖的な経済を開き農業自由化を強く要求している。日本の金融にかけられた圧力と同様なものが遮二無二のしかかりつつある。
30日 21世紀の朝鮮半島 韓国は21世紀の新しい世界経済の中で、生存が困難になりつつあるのではないか。社会の基盤である農村と生活体系が崩壊しつつあるのである。 一方、北朝鮮は限界に達しつつあり何かが契機となり朝鮮半島に激動勃発の可能性もあり得る。その時、北朝鮮の核は計り知れない国際的圧力がのしかかる。
31日 在韓総司令部の移転 アメリカには今のように形で朝鮮半島にアメリカ軍を置くのは間違いだと思う声が強い。韓国人の反感もある。 やがて総司令部を韓国の南に移転することになるが、朝鮮半島の未来には大混乱の起きる原因になるとも予測できる。絶望的な朝鮮半島を隣国に持つ日本である。