“第二次日本占領作戦”完了 

私は、日本の置かれた歴史的現実から親米である。米国の世界主要国に占める軍事力・経済力の超大国ぶりは圧倒している。日本生存の基軸は日米同盟しかない。価値観を共有し、知性と良識も多分に持つのは米国であり、共産主義の中国ではない。
中国とは基本的に相容れぬものがあるのは究極の結論である。隣国は、互いに相違を認めつつ共存の道を双方が探すのが道理だが中国には無い。

さて日本は
60年前米国に敗戦、憲法は押し付けられ、戦前までの日本の伝統・文化・歴史・教育まで総て悪であると、根こそぎ変更を強制させられた。国家と国民の安全もすべて米国に依存し、冷戦の続いた戦後日本は経済のみ追求し繁栄を勝ち得た。結果、日本が持つ米国国債の保有率は世界一の34%を占めるまでに至る。

ソ連消滅による冷戦終結で、米国は日本の経済大国に脅威を覚えた。それからである、米国の対日経済大戦略の発動は。ここ十数年、政経の外圧による作られた日本大不況により米国の作戦は大勝利に終わり、遂に米国占領軍が放置していた日本
(日本的経済成功原理)を崩壊せしめた。米国の望む日本の社会経済構造転換も成功し遂に経済も完全に敗戦し米国の望む通りに決着しつつある。故に米国とは経済摩擦も発生しない。
具体的には
1980年代から日本は急速に米国化した。米国の激しい対日経済攻勢の国際的包囲網を作られ大不況となった。1990年代になると急速に効果が現れ変化してきた。

一口で言うなれば、閉鎖的な過去の官僚主宰型の戦後経済システムの崩壊である。それにより大企業は本格的なリストラに着手し流通、投資、貯蓄、土地利用、雇用制度とあらゆる面で戦後成功した日本経済システムにメスを入れられて崩壊過程を辿ったのだ。

それにより日本の社会はあらゆる面で様変わりした。米国は日本は正しい軌道に乗ったという。確かに国内外の価格差は縮小し、大衆の利便性も飛躍的に向上した。だが、一方で富める者と貧しい者、中央と地方の格差は極端に拡大してしまった。

整形女医の娘誘拐の犯罪に見られるように社会は米国型の貧富の差の激しいものが反映されるようになった。全国に米国式の巨大ショッピングが出来てシャッター商店街ばかりとなった。

金利のない預金で銀行の不良債権もほぼ償却され、企業のバランスシートもキレイになり高収益に再生した。多くの規制も緩和され遂に郵便局までメスが入り民営化への道を歩みだした。

日本人の暮しと人情と平穏を支えてきた終身雇用制も過去のものとなった。経済は再び復活し陽はまた昇り始め日本経済の現状は物凄い強みを備えてきた。

資本主義、市場経済は究極的には果実であるマネーに凡てが集約される。日本人は実業に強く素晴らしい製品を作り上げて今日の繁栄を手にした。だが株式会社の資本を牛耳る者が最高の力を得るのが市場経済。そのマネーを得意とする米国は金融分野で郵便局の資金
250兆円、簡保150兆円も含めて解放させた。

これは、米国の大勝利である。だからあれだけ米国内で売れる日本製自動車に気持ちが悪い程、何も言わない、食肉も大きく騒ぎたてない、なぜなら米国は経済大勝利したからである。

繰返す、資本主義では資本を押さえたものが勝利者。日本且梠繧ヘ大企業の大株主は大銀行であったがそれも解放され、今やその銀行の上位株式所有者は外国資本である。日本の大企業も同様である。無念ながら日本は米国流の弱肉強食の社会に転換した。
平成18年10月1日
  徳永日本学研究所 代表 徳永圀典