亀井勝一郎

当時、私を惹きつけていたのは、大和古寺巡礼の風物誌で著名な亀井勝一郎であった。だから、日曜日には大和地方、奈良界隈は実によく散策し、古寺を見て歩き、山之辺の道もよく歩いた。当時は、物珍しい程度だが、考えて見れば、世界最古の文化地帯を逍遥していたのである。
だから累積もあったのか、住友銀行最後の部署である本店人事部では、住友銀行山岳会長として、関西の支店に呼びかけて、行員を集めて山之辺の道をハイキングして景行天皇御陵近くの草っ原で神戸女子大学教授による遺跡解説などを提供をした。

更に申せば、引退後には、関西在住の諸氏と、大和を、或いは紀伊半島を中心とした遺跡・古跡や山々を隈なく逍遥し、また登山している、関西百名山のことである。だから私は、奈良・京都と千年の都のあった関西にはめっきり強いのである。 徳永圀典