10月20日 苦悩と人間

 ちょっと成功したからと言って、軽々しく得意になるような人間は、たいてい軽薄で、経験に乏しく、深く反省することをしないものです。人間は苦悩によって錬られてゆくのでありまして、肉体的にも精神的にも人間が成長してゆくために苦悩は欠くことのできない条件であります。そこで苦悩に敗れたらおしまいですから、過失や失敗のために取り乱さないように心がける必要がある。自分の過失を知るということは、自己教育の最も重要な方法の一つであるとともに、人を教育する者の常に注意すべきことであります。

                 先哲講座