10月21日 不遇・逆境

 日本人は情けないことに、ノイローゼにかかる者が随分いる。これは「自ら養うところがない」ものだから環境に真けるんだね。いかなる所へ行っても、牢獄へ入れられても、島流しにあっても悠然としてふだんと変らないようになるのには、よほど自分を作らなければならない。そういう意味では、不遇・逆境というものは自己を錬る最もいい場所だ。心がけがよければ牢獄の中でも随分学問もできる。また病気をすると、辛いことは辛い。しかし、またその病気の中に無限の意味もあり、効用もある。快楽もある。 知命と立命