10月3日 余りに頗廃的

 今や荒涼たる廃墟に立って、恐るべき不安に慄えながら現代人は生活の改造を絶叫し、精神の安立を渇求している。もはやすべての人が真面目に返らねばならない。真面目になって真実なる人として、新たに人生を邁往しなければならない。一切の狐疑-怠惰-欺瞞は遂にかの世紀末の習気のうちに人間を腐敗し絶望せしめるであろう。しかるに翻って我等の社会を見るに、私はこれを包む空気の依然として余りに頗廃的なるに驚かざるを得ない。私はこの頗廃的空気が一刻も早く我らの社会を去らんことを熱望する。

               東洋思想と人物