平成28年10月31日  自己と他個は共存関係

 すべての物には、その物独自の立場と、全体の一部

分としての立場とがあって、個は他の個、及び船体と

の関連において初めて存在することができる。 

例えば、人間は存在するものの最も代表的なものであるが、その人間はそのもの自身、自己と同時に、全体の部分として、他の個と共に存在しておる、つまり分在である。そこで、これを結んで自分という。我々は自己・自分として自在であると共に、全体に対して分在するのであるから、自らそこに守分というものがなければならない。

この自分自身と他己、及び全体との関係を礼というのであります。そういう意味から言って、Iだとか、Ichだとか、と自称を表す語は世界に沢山あるけれども、自分という語ぐらい意味のあるよく出来た言葉はありません。      陰隲録