10月7日 都会

 俺たちは都会人だという一つの虚栄心、これが実に危いということを指摘しておきます。そういう都会が非常に発達する。腫物がどんどん大きく化膿して行って農村がどんどん荒廃していく。この現象、最初はそれが当たり前だと思っていた。所が何ぞ知らん、都会が発展するように見えるが、都会というもの自体は元来少しも発展するものではない。寧ろ都会というものは驚くべき勢いで没落して行くものであるということが段々分かってきました。都会が発達するように見えるのは絶えず周囲の農村から人間がその新鮮な生命力を注ぎ込むから始終発達するように見えるに過ぎない。       経世瑣言