語相(ごそう) その一 

人間の観相に就いて吾輩は語っておるのじゃが、どうだい理解し納得しておるか?

これが平気で無関心なら君の人生は大したことは無いぞ。

今回は「語相」について薀蓄を語ることとする。 

声音(せいおん)丹田(たんでん)より出づ」だ。 

丹田が理解出来ぬとなると君には見識が無いこととなる、見込みはない、()(かい)丹田(たんでん)のことじゃ。

声を咽から出したり、頭のてっ辺から出すような声はいけないのだ。これはのう、とても大事なことだ。謡曲など端坐してはじめて出来るのだ。 

唇と舌は整っていて落ち着いておらぬといけないのだ。

声音は整っておらねばならぬと言うことだ。

和緩(わかん)歯を(あら)わさざるを(みょう)と成す」のじゃよ。

和やかに、緩やかに、ゆったりと歯を現さない。

歯を剥き出しにしたり、歯茎(はぐき)を余り出しすぎるのも下品なのじゃ。 

急焦乱泛(きゅうしょうらんはん)なる者は賎し」なのじゃ。

急は、せかせか、焦は、いらいら、乱は、とりとめのない。(はん)は浮かぶこと、つまりぺらぺらと他愛ないことを言い散らすことなんだ。これは賎しい。

                  岫雲斎