三月堂

東大寺建築のなかで最も古く、寺伝では東大寺創建以前にあった金鍾寺(きんしょうじ)の遺構。752(天平勝宝4)の東大寺山堺四(さんさかいし)至図(いず)には「羂索堂(けんさくどう)」とあり、不空羂索観音を本尊として祀るためのお堂。旧暦3月に法華会(ほっけえ)行われるようになり、法華堂、また三月堂ともよばれるようになった。

もとは寄棟造りの正堂(しょうどう)礼堂(らいどう)が軒を接して建つ配置であったが、鎌倉時代、礼堂を入母屋造りに改築して2棟をつないだ。正堂は天平初期の建築だが、礼堂は大仏様の特色が見られる鎌倉時代の建築。時代の異なる建築が高い技術によって結ばれ、調和の取れた美しい姿を見せる。