1117日 慈悲

人間は常にいつくしみの心、慈心・仁心を養わねばならぬということです。キリスト教で言えば愛であり、仏教でいえば慈悲である。慈悲とは本当によく出来た語ですね。慈の字が特に良い。人間は物の命が無視され犠牲にされるのを悲しく思う。その物を愛すれば愛するほど悲しい。だから愛という字をかなしむと読む。

愛することがなくては、悲しむことがなくては儒教も仏教もないのです。だから平生において絶えず物の命をいとおしんで慈悲行を積んで置けば、やがて天地・人間を通ずる法にかなう。これが立命の大事な条件であります。          陰隲録を読む