1118日 悔い改める

 一息でもまだこの世に存する限り、天にみなぎる悪をも悔い改めることができる。古人の中には一生悪いことをしながら、死ぬ間際に臨んで悔悟し、一善念を発起して遂に終わりを善くし得た者もある。これは一善念を発起して(たけ)く励めば、それだけで百年もの長い間の悪をも洗い清めることができる、と言うことを言っておるのである。暗黒が深ければ深い程、一灯の値打ちが尊い。極悪人が一念発起懺悔すると、人一倍立派な人間になるのも道理であります。だから過は旧いも新しいもない、ただ改むることが貴いのである。

                運命と立命