中・韓、国債破綻リスク急上昇 

カヤの外のTPPに参加するには高いハードル

 中国と韓国の経済が共倒れ状態。国債の債務不履行(デフォルト)リスクを示す数値が一時急騰。国際通貨基金(IMF)は韓国の成長率見通しを大幅に下方修正、中国企業の破綻多発を警告した。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)でも取り残された中韓は、日本に命運を握られた。

 国債の債務不履行に備える保険の一種・金融商品「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」は、一般に数値が高いほど破綻確率も上昇。
 中国のCDSは9月末に135bpベーシス・ポイントまで上昇、韓国のCDSも一時83bp、いずれも2013年6月以来の高水準を記録。その後やや下落したが40bp台で安定する日本との差は歴然。

IMFは10月6日の世界経済見通し、今年の韓国の経済成長率の見通しを3・1%から2・7%へ0・4ポイント大幅に引き下げ。世界全体の成長率の下方修正幅が0・2ポイントだったのに比べても落ち込みが激しい。
 中国経済の減速が新興国の景気を落ち込ませたと分析、対中依存度が高い韓国は中国ショックをモロに受けた。
 中韓は金融面でも抜き差しならない関係。

今年1〜3月期の韓国の銀行部門の対外債権約16兆7800億円の中、中国関連が17・5%の2兆9300億円を占め、世界で最も高い比率。

 IMFは、中国の今年の成長率予測については6・8%に維持したが、一方で7日に発表した世界金融安定報告で、米国の利上げをきっかけに中国など新興国から資金が流出、中国では「企業破綻が多発し、金融システムの緊張が高まる」と警鐘を鳴らした。

 中韓に大きなショックを与えたのがTPPだ。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)というバスに乗り込んだ韓国だが、TPPという、もっと大きなバスを横目に焦りを隠せない。

 ただ、TPPに新規で参加する場合、現在の参加12カ国すべての同意が必要だが、韓国は日本と事前協議していない。日本がノーといえば参加できない状況だ。

 中国にはTPP参加のハードルはより高い。TPPには知的財産保護や国有企業の優遇制限が盛り込まれているためだ。存在がかすんでしまったAIIBに日本や米国を誘うしかなくなっており、中国の野望も腰砕けになりつつある。