11月27日 恋愛は自己補完 その三
故に真の恋愛は滅多に出来るものではない。人物が出来て来れば来るほど、恋ふべき異性は稀になって来る。破(やぶれ)鍋(なべ)なればこそ綴(とじ)蓋(ぶた)で好い。軽々しい恋愛はその人物の浅薄低劣さを表す雄弁な証拠なのである。所謂、ドンファン型の恋愛や珈琲店恋愛は、即ち近代人の精神的堕落の暴露たるを免れない。