破綻が到来するか!
昭和20年の敗戦時、私は日本の破綻の歴史的体験をした。
それは、「円封鎖」である。
要するに国家の破綻であるが、
それは「円の破綻」でもあった。
円紙幣の無効である。戦時中、軍備増強の為に、極限まで財政を国債増発で膨張し敗戦により全てパー、ご破算で願いましてとなったのであります。
紙幣制度は、「信用」により成り立っている。
国家の破綻は信用制度の破綻なのですね。
そして、ご破算で願いまして、一から戦後はスタートしました。旧円を新円に変更、過去の500円を新円一円と交換されました、旧円に証紙を張って新円とされました。お金は五百分の一に減価したのです。
これが敗戦という真実です。
戦後は、日本も高度成長が続きました。昭和30年代現在の中国と同様8パーセント成長が続きました。
ご存知のように高度成長は無限に続くものではありません。中国もいつか日本の辿ったような道を歩むでしょう。
いつも思うのですが、
キリストの紀元元年から1945年まで、年率成長は、人類は0.1%程度だと聞いたことがあります。
経済成長は漸次成長したのですね、徐々に人間は豊かになったのです。
処が戦後、ケインズ博士の主張、即ち、景気の悪い時は、国が国債を増発して需要を喚起したらよい、このケインズ主義をバイブルにして戦後は錦の御旗のように、国が国債を発行して景気を煽り成長至上主義を何十年も続けてきたわけですね。
どの国もそうでした。
処が、それを個人までローンにより「富の先取り」をしたわけです、為に物が溢れて個人は買うものがなくなった。需要が起きない景気が中々上がらない筈ですね。昔はコツコツ辛抱して金を貯めてから家を建てたものです。現在はローンで僅かな元手で家を手に入れる。富と幸せの先取りです。
それは世界的となりました。借金が膨大になったということは個人では「幸せの先取り」です。
現在、世界の借金は幾らあるか。
世界の借金は164兆ドル、一京8500兆円とか。これは世界総生産高GDP76兆ドルの数倍ある。まさに異常です。
では、その中、個人の借金はどうか。
5500兆円です。
アメリカはそのナンバー1で、アメリカの学生の七割がローン漬けで170兆円、69パーセントの学生が延滞していると言う。
韓国では、遂にローンを政府が肩代わりしている。
10年延滞の人の九割免除、該当者は早速焼肉食べに行きていました。馬鹿なことをしている。
これは「資本主義の否定」です、また中世の様ですね。
真面目にやっている人がバカを見る、モラルハザードが起きます。
こんな調子ですから物が溢れ、富の先取りをローンでして来たから景気など浮揚するわけはない。
これは資本主義破綻の導火線ではなかろうかと思える。
これは、いずれ世界的破綻へ向かう要素だと私は見る。
当初にご紹介した世界最大のヘッジファンドのダリ氏ならずとも、世界経済は行き詰まる。本当にここ数年ではないか。
思い返せば、これだけマネーが拡散したのは、もとを質せばニクソンの時のアメリカの「金兌換廃止」により無制限近くドルそして各国のペーパーマネーの拡散からです。
1990年 バブル崩壊
2008年リーマンショック百年一度の規模
ここで中国は56兆円、各国も紙幣乱発。
空前のマネー供給でした。
現在、世界には有り余るマネー、空前のマネーが供給
されているわけです、景気を上げるために。
限界が到来しているのではないか。
借金で富や幸せの先取りしたから、欲しいものも買え
ない。
政治が国民を甘やかす。
成長主義の限界ですね、
難しい局面を世界は迎えつつある。
大破綻が迫りつつある。あの敗戦時の日本の円破綻の
ように。
資本主義が行き詰まってきた。
「身の丈にあった生活」これ本来の日本の姿勢です。
庶民の偉大なる常識に結局は真理が潜んでいる。
平成30年11月5日
徳永日本学研究所 代表 徳永圀典