安岡正篤先生語録集「鳥取木鶏会用」 そのA

青少年は早く若朽(じゃっきゅう)する

 「少年老い易く、学成り難し」とし誰も吟ずる朱子の詩句であります。これは大人が感ずる心境で、青少年時代には、こんなことを感ずるものではないのですが、青年としては特に速く自覚して置かねばならぬもっと恐ろしいことがあります。志を立てて努力しないと、案外速く青年もだめになるということです。  (日本の父母と青年に)

学習とは

 学習とは、頭に覚えた事をこういう所でマイクの前で喋るだけでは問題にならない。我が身につけて、それを実行しなければ宝の持ち腐れに終わってしまう。だから、まず頭に学んで、朝な夕な、火花の散るほどこれを習う。実行する、身につける、それでこそ初めて嬉しい、喜ばしい。   (安岡先生に学ぶ人物学)

自分を作り直す

 学問というものは矢張り現実から遊離したものは駄目でありまして、やはり学問というものは自分の身につけて、足が地を離れぬように、その学問、その思想を以て自分の性格を作り、これを自分の環境に及ぼしてゆくという実践性がなければ活学でありません。                   (講演集)

体現、体得

 学問・知識などというものは単なる論理的概念に止まっておる間は駄目でありまして、これを肉体化する、身につけるということが大事であります。所謂、体現・体得であります。西洋で申しますと、enbody 或はincarnateと言うことであります。そうなると直ぐ顔や態度に現われる。  (大学と小学)

学ぶ妙味

 どんな科学の一分野、どんな一物からでも、それを究め尽くせば必ず真理に到達してゆく。結局、最後は大きな宇宙、天、地といったような問題にぶつかる。どこから入ってもいい、どこから入っても、あらゆる学問というものを追求してゆけば結局こうなる。ここに学問の妙味がある。           (東洋哲学講座)

.学問は楽しく

 学問・求道することは何か難しいことのように思う誤解が多い。然し、決して難しいことでも、煩わしいことでも何でもないのでありまして、却って我々が常に何か意義あることに全身全霊を打ち込んでいくのは楽しいことなのです。学問することは楽しいものであります。               (朝の論語)