116日 人生航路

 人生航路もまた然りでありまして、余り安泰なコースを真っ直ぐに通っておりますと、人間の精神機能が麻痺してきた、惰力的になり、眠い人間になって駄目になってしまう。学校を出てこういう立派な職場に入って、もう首になる心配も定年まではない。毎日同じ時間に家を出て、同じ道を通って、同じ建物にはいって、同じ人間の顔を見ているうちに何も考えなくなってきて、無為平凡に過ぎ、定年の頃には、つぶしがきかぬなどということになって、万事休すということになる傾向がある。人間としての教養を考えないと、そして自分の生活に変化をつけないと駄目なのです。

              暁鐘