徳永の語る安岡正篤先生 その三
令和5年11月6日 徳永圀典
安岡先生は総理の師であった、それは「宰相学」である。
帝王学と申す方もある。
安岡先生が説かれた帝王学の三本柱は
一、 師 二、側近、三、幕賓 である。
師は当然として、側近は、「直言してくれる側近」のことだ。
これは中々難しい。イエスマンではない。
幕賓とは聞きなれぬ言葉あろう。安岡先生は幕賓とは良き師と言われた。良きアドバイザー、改善する点を示唆したり、驕りがないかチェックしてくれる役割、ビジネス上のヒントを呉れる人でもある。嫌な事を言ってくれる人は必要なのである。
竹中半兵衛は豊臣秀吉の前半のそういう方であった。
後半では黒田神兵衛、
直言の度を越した為に切腹を命じられた千利休などである。幕賓なくしてトップは維持不能とさえ言われる。
洋の東西を問わず、トップの人間関係は極めて重要な要素
であります。
「益者三友、損者三友」という言葉もあります、
益者三友を求めなければならぬのであります。
こんな言葉があります。
「直きを友とし、諒-まこと-を友とし、多聞を友とするは
益なり。
つまり、剛直、誠意、教養のある人は、
自分のとり「益」、為になる人なのです。
易-やす-きにつく人、
人あたりの良い人、口先だけの人は
自分の為にならない。
逆に
「便癖、べんぺき、を友とし、善柔を友とするは損なり」
という格言の通り、易きにつく人、人あたりのよいだけの人、口先だけの人は自分の為にならない友人だというわけです。
良い師、良い友人に巡り合うことは一生の宝であります。
「益者三友、損者三友は孔子の知恵であり友を見抜く時の知恵ですね。友を見抜く時のバロメーターであります。
経営者は孤独であります。だが、企業が繁栄して行く為には不可欠なのも友でありましょう。
例えば、ソニー、今や世界企業ですが、敗戦後の焼野原から生まれた企業だ。
盛田昭夫と井深大、本田技研の本田宗一郎と藤沢武夫、
ワコールの塚本幸一と中村伊一、
というふうに、良き協力者の友がいると企業は伸びる。
協力者としての友には共通点があるようです。
それは互いに、自分の持っていない物を持つ人が協力者になっていますね。
「類は友を呼ぶ」。
これは同質のことではない、
志が同じで、共に「徳性」を備えた人物が、あいひかれあうようです。
令和5年11月6日
徳永日本学研究所 代表 徳永圀典