鳥取木鶏会レジメ 徳永万葉集その二 平成23117

1. 宇陀の安騎野  1-48 柿本人麻呂

ひむがしの 野にかぎろひの 立つ見えて  かへりみすれば 月かたぶきぬ

東野炎立所見而(あづまののけぶりのたてるところをみて)」 賀茂真淵

 古事記 口承 稗田阿(ひえだのあれ)の暗誦

 太安万侶 銅版の墓誌が茶畑で昭和54年1月18日 

 「左京四条四坊(じゅ)四位下(よんみげ)勲五等太朝臣安萬侶(おおののあそんやすまろ)(みずのと)()年七月六日(かのと)之養老七年十二月十二月乙巳(きのとみ)

延喜式(えんぎしき)神名帳(じんみょうちょう) 古代に神祇官が作成 式内社 式外社(しきげしゃ)

音読みと訓読

軽皇子(後の文武天皇)の父は、有名な草壁皇子(天武天皇と持統天皇の子供)。軽皇子が安騎野に宿りましし時の歌とある。皇子10歳の歌。

朝がすみ  (いわの)(ひめの)皇后(おおきさき)

2.君が行き()長くなりぬ山たづね迎へか行かむ待ちにか待たむ    巻2-85 

3.かくばかり恋ひつつあらずは高山の磐根(いわね)()きて死なましものを   巻2-86 

4.ありつつも君をば待たむ打ちなびく我が黒髪に

霜の置くまでに    巻2-87

5.秋の田の穂の()()らふ朝霞いづへの方に

我が恋ひやまむ      巻2-88

6. 小倉の山  巻8-1511 舒明天皇

夕されば 小倉の山に 鳴く鹿は 今夜は鳴かず    ()ねにけらしも

7.暁露  大伯(おおくの)皇女(ひめみこ)

 (わが)背子(せこ)を 大和へやると さ()()けて

 あかとき露に 吾が立ちぬれし 巻2-105

大伯(おおくの)皇女(ひめみこ)は悲劇のプリンス大津皇子の姉。父は「天武天皇」、崩御されたのは68899日、皇后の「鵜野(うのの)皇女(ひめみこ)」。

母が違うだけの兄弟の悲劇。大津の母・大田皇女は、草壁の母・鵜野皇女の姉、大田皇女はすでに死亡。皇后として実権を握るのは妹・鵜野皇女。

懐風藻

状貌魁梧、器宇峻遠、幼年にして学を好み、博覧にしてよく文を属す。壮なるにおよびて武を愛し、多力にしてよく剣を撃つ。性すこぶる放蕩にして、法度に拘らず、節を降して士を礼す。これによりて人多く附託す。出来る人物

8.(もも)(つた)ふ 磐余(いわれ)の池に 鳴く(かも)を 

今日のみ見てや 雲隠りなむ    巻3-416 大津皇子

9.姉の大伯(おおくの)皇女(ひめみこ)は弟の死を分って、歌を詠む。

現身(うつそみ)の 人なるわれや 明日よりは 

(ふた)上山(がみやま)(いろ)()とわが見む   巻2-165

10.  大伯(おおくの)皇女(ひめみこ)は続けて歌う

磯の上に()ふる馬酔木(あしび)を ()(おら)めど 

見すべき君が ありといはなくに     巻2-166