19日 読んで楽しむ

 若い時は専ら知見を広めるために書を読んだが、その後だんだん好きで読むようになった。この頃は寧ろ楽しんで読む、読んで楽しむようになった。好かぬと思っていたものも、どうかすると結構楽しいことがある。このごろのように世を挙げて徒に忙しく風俗の甚だ荒んでいる時ほど我々は出来るだけ雑事を避け、独りになって、静坐し、読書し、天の光りを受け、彼岸の声を聴く心がけが大切である。心に「永遠」の浸潤を受けて現実の汚染を薄めることが大切である。

                新憂楽志