| 1日 | 176句 | 
 
          
  | 一つの法といえども これをまもらず 妄語を口にし 後の世を 信ぜざるもの かかる人を 罪として 犯さざるなし | 唯一守るべき法を破り、虚偽を語り来世の存在をなおざりにする人は大きな罪を犯している。 |  | 
    
      | 2日 | 177句 | 
 
          
  | めぐみの心なくば 天の世界に往かず おろかなる者は 施与をたたえず されど 智者は 施与を見て うちよろこぶ これによりて彼は 後の世にも安楽なり | 慈悲の心のな者は神の世界に入ることはできない。愚か者は布施をよく言わない。賢い人が布施を心から喜ぶ。そのような人は後生が良い。 |  | 
    
      | 3日 | 178句 | 
 
          
  | この大地を 一つの手にて治めんよりは またよし天に生まれて すべてを掌らんよりは さらにすぐれたるは 聖者の初果に 達することなり | 地上の王よりも、幸福な天の世界に至るものよりも、さらに又ありとあらゆる世界の帝王となるよりも、精神生活の第一歩に至る方がましである。 |  | 
    
      | 4日 | 第十四品179句 | 
 
          
  | さとれる人は すべてに勝ち ふたたび他に敗らるるなし この世 誰か 彼の勝利に及ばん 彼の心境はひろくして涯なし 彼には足跡もなければ いかなる道によりてか その人をまよわしえん | 全てに勝ったものは再び負けることはない。その勝利の中にこの世の誰も入れない。思想生活は果てしなく、足跡もない仏陀、誰も迷わしえない。 |  | 
    
      | 5日 | 180句 | 
 
          
  | さとれる人に 虚偽と害いを醸す 愛欲はなし 彼の心境は ひろくして涯なし 彼には足跡もなければ いかなる道によりてか 彼をまよわしえん | 悟った人は、偽りと害を与える愛欲はない。その心は広大、そして足跡もなくどのような方法でも彼を迷わすことはできない。 |  | 
    
      | 6日 | 181句 | 
 
          
  | 念ただしき正覚者を 神々さええらやむなり 彼らのこころは 禅思にひそみ 健く 世間出離の 静寂をたのしむなり | 思索と瞑想に耽り、世俗から超越して静かな生活を楽しむ賢者、神々さえこのような思想深き完全な仏陀をうらやむ。 |  | 
    
      | 7日 | 182句 | 
 
          
  | 人の生を うくるはかたく やがて死すべきものの いま生命あるはありがたし 正法を 耳にするはかたく 諸仏の 世に出づるも ありがたし | 人間に生まれるのは難い。死ぬべき者が地上に生きていることも難い。優れた真理を耳にするのも難い。仏陀がこの世に現れたのも難いことだ。 |  | 
    
      | 8日 | 183句 | 
 
          
  | ありとある 悪を作さず ありとある 善きことは 身をもって行い おのれのこころを きよめんこそ 諸仏のみ教えなり | あらゆる悪事を犯すことなく、出来る限りの善事を行い自分の精神を清らかにすることが諸々の仏の教えである。 |  | 
    
      | 9日 | 184句 | 
 
          
  | 「忍辱こそ最上の行 くるしさをたえ忍ぶこそ この上もなき涅槃なり」 諸仏はかく言いたまえり まこと 出家して 人をそこなうものなく 沙門にして 他を悩ますことなし | 「忍耐こそ最上の苦行であり、忍従こそこよなき精神的自由に達する」と諸々の仏は言われる。だから出家は他を害うものではなく修行者は他人を謗り悩まさない。 |  | 
    
      | 10日 | 185句 | 
 
          
  | 「謗らず 害わず 戒におのれをまもり 食において量を知り 閑かなる所に坐して しかも易きに住せざれ」と、 かく 諸仏は訓えたもう | 謗ったり罵ったりせず、人を傷つけないで閑かに座禅し清らかに戒律を守り慎む。食べる量も適切であることは仏様の教えである。 |  | 
    
      | 11日 | 186句 | 
 
          
  | 金貨の雨を浴びるとも 諸欲には飽くることなし されば 少分なりとも 諸欲を味わうは くるしむなりと 賢者は知れるなり | 雨のようにお金があっても満足させることの出来ないものは人間の飽くことのない欲望。僅かの欲望を味わってもそれは苦いものだと知る者が賢者なのである。 |  | 
    
      | 12日 | 187句 | 
 
          
  | 天の欲楽にも 心よろこばず 愛欲の 滅尽にこそ 心よろこぶもの かかる賢者こそ これ正等なる 覚者の弟子なり | 天上の許された楽しみさえ満足を起さない目覚めた仏陀の弟子たちこそ正統なる仏陀の弟子である。 |  | 
    
      | 13日 | 188句 | 
 
          
  | 世の衆生は いわれなき 恐怖にかられて もろもろの 山に雑林に 園に さては 樹に 制多に帰依を 求めんとしするなり | 怖れおののいた人々は山々や森に、園や樹に土憤にかかる数々のものの保護を求める。しかしそれは決して安らかな保護ではないし最高の保護でもないしそれ以上のものでもない。こんな保護を求めたとて全ての苦しみから逃れられない。 |  | 
    
      | 14日 | 189句 | 
 
          
  | こは 安穏の よりどころにはあらず こは すぐれたる 帰依にもあらず かかるところに 帰依するとも すべてのくるしみを のがるることなし | この世は安穏できる場所ではない。帰依するところでもない。この世では全ての苦しみから脱却できない。 |  | 
    
      | 15日 | 190句 | 
 
          
  | さとれるものと 真理の法と 和合の集まりに 帰依するものは 正しき智慧もて 四つの聖人なる 真理を見るなり | 聖人の説かれた真理の四つの法に智慧ある真理即ち四諦である。 |  | 
    
      | 16日 | 191句 | 
 
          
  | くるしみと くるしみの おい立ちと 離脱と くるしみの 滅尽に導く 八つの聖道 | 四つの尊い真理とは、人生の苦しみ、その苦しみが何により起ったか、次にこの苦しみからの離脱、次に苦を滅尽させる八つの尊い教えであ。。 |  | 
    
      | 17日 | 192句 | 
 
          
  | これぞ 安穏の依りどころ これぞ 無上の依りどころ ここに 帰依するものこそ すべてのくるしみを のがるべし | 仏法僧に帰依することこそ、まことに安全な帰依、無上の帰依なり。この帰依はまこと安全なもので無上の帰依である。 |  | 
    
      | 18日 | 193句 | 
 
          
  | 人のうちの尊者たる 覚者はありがたし この人はいずこにも 生るることなし かかる賢者を生みたる その族は 幸福にして栄えん | 尊い人は得がたく、どこにでも生まれるものではない。こうした賢者が生まれた民族には幸福がいよいよ増すことであろう。 |  | 
    
      | 19日 | 194句 | 
 
          
  | 諸仏のあらわれ給うは たのし 正法をとくも たのし 僧衆のこころ一つなるも たのし 和合衆の道にいそしむも また たのし | 仏陀の出現は有り難い、勝れた教えを説き明かすのも有り難い。僧侶たちの和合、またその修行も幸せなことである。 |  | 
    
      | 20日 | 195句 | 
 
          
  | すでにたわむれの 論議をこえたる 憂いと 苦しみを 渡り越せる 仏陀とその弟子と かかる供養の あたえたるものにこそ 供養すべきなり | 全ての迷いの源を克服し、苦悩を越え供養すべき価値ある仏陀と弟子を供養するべきである。 |  | 
    
      | 21日 | 196句 | 
 
          
  | かくのごとく 安穏にして 畏れなき人を供養せんに いかなる人ありとも この 功徳の量を 計る能わじ | このように精神的自由と安定を持つ者の功徳は誰もこれを数えられないくらいだ。 |  | 
    
      | 22日 | 第十五品197 | 
 
          
  | 悩みをいだく人々の中に たのしく 怨みなく 住まんかな 怨みごころの人々の中に つゆ怨みなく 住まんかな | 怨みのある世間で怨みなく我々は生活する。怨みの中でも憎しみの心なく吾らは住まっている。 |  | 
    
      | 23日 | 198句 | 
 
          
  | 心にいたみをもつ人々の中に たのしく 心いたみなく 住まんかな 心いたみ 嘆く人々の中に つゆ心いたみなく 住まんかな | 心病む人の中に吾は心痛むことなく幸せに暮らす。少しも心いむこくなく幸せに住む。 |  | 
    
      | 24日 | 199句 | 
 
          
  | むさぼり深き人々の中に むさぼり心なく げにこころたのしく 住まんかな むさぼりになやむ 人々の中に つゆむさぼりなく 住まんかな | むさぼる心の多い人の中にあって吾はむさぼる心なく幸せである。あくことを知らぬ人々の中で吾らはむさぼらないで生活する。 |  | 
    
      | 25日 | 200句 | 
 
          
  | 所有というものなくとも われら こころたのしく 住まんかな 光音とよぶ天人のごとく 喜悦を 食物とするものと ならんかな | 何者も所有せざる吾らは誠に幸せに暮らす、輝きの神のように喜びを食べ物とする。 |  | 
    
      | 26日 | 201句 | 
 
          
  | 勝つ者 怨みを招かん 他に敗れたる者 くるしみにて臥す されど 勝敗の二つを棄てて こころ寂静なる人は 起居ともに さいわいなり | 勝った者は怨みを招く、負けた者は苦しんで臥す。勝敗の二つを離脱した人は静寂で幸せである。 |  | 
    
      | 27日 | 202句 | 
 
          
  | 貪欲よりはげしき 火はなく いかりにまさる 不吉の骰子もなし このかりそめの身に たぐうべき くるしきものなく 寂静にまさる たのしみはなからん | むさぼりより燃え盛る火はない。怒りのような悪いさいはない。肉体ほど悩ましいものもない。精神の安寧に勝る楽しみはない。 |  | 
    
      | 28日 | 203句 | 
 
          
  | 飢は上なきの病 この身には 最上のくるしみあり このことわりを あるがままに知らねば そこに こよなきたのしみ 涅槃あるべし | 飢えは最高の病と言える。造られたものの最高の悩みである。このことを確りと認識する事、これは最高の楽しみであり悟りであると知るべきだ。 |  | 
    
      | 29日 | 204句 | 
 
          
  | 無病は 上なきの利 足るを知るは 上なきの財 信頼こそは 上なきの親族 涅槃こそ 最上の安楽なり | 健康は最高の利、足るを知るのは最高の財産、信頼は無上の身内、そして最高の幸せは真の精神的自由である。 |  | 
    
      | 30日 | 205区 | 
 
          
  | ひとりいの味わいと こころ静める 味わいを嘗め 法のよろこびを 飲み味わいたるものに 恐怖もなく また罪もなからん | 孤独と静寂の味わいを経験したものは、怖れとか罪とかを離れて真理の喜びを得る。 |  | 
    
      | 31日 | 206句 | 
 
          
  | 聖者を見ることは 善なり 聖者と共に住むは つねに幸いなり おろかなる者を 見ざる人は 心つねにたのしからん | 聖者を見ることは善きこと、聖者と共に住むは常に幸いなり。愚かな者を目にしない人は常に幸福である。 |  |