12月12日 茶 その一
茶というものは、日本で千年以上も昔から、挽(ひき)茶(ちゃ)の節会(せちえ)や、行(ぎょう)茶(ちゃ)の儀に用いられてきた。中国では、遠く周代から用いられている。元来、心気を爽やかにする薬であったことは言うまでもない。その茶を栽培するには、塵埃(じんあい)のかからぬ浄境(じょうきょう)の、欲を言えば、近くに川の流れがあって、朝な夕な川霧がかかり、太陽の直射が避けられ、やがて日が昇ると共に徐々に霽(は)れ渡る、そういう所が良い。