12月14日 農村
山水を観じ楽しむ哲学も芸術も忘れ、安心立命の教えなどは失せ、茶も花も貴族富豪の遊戯に任せ、なつかしい隣人愛の生活を壊して、都会の闘争場を性懲りもなく演出している。今となってはこの農村の荒廃を一朝一夕に救えますまい。自然と人生とを深く識る人が役場や学校に出てくれることが、つまり人物が農村に出る、或いは帰ってくれることが何より望ましいことです。でないと、結局農業も落伍者の職業となり、勤労も修養も自慰か自欺のはかないものになりましょう。 童心残筆