国家の尊厳を守る宣伝戦

 いわゆる「従軍慰安婦」問題をめぐり本年7月のアメリカ下院、11月のオランダ・カナダ両国の下院に続き今月12日、日本政府に公式謝罪などを求める決議案がEU(欧州連合)の欧州議会本会議に上程された。13日夕方にも討議の上、採決を行う予定であるという。法的拘束力こそないものの、5億近いEU加盟国国民の民意の象徴となっている欧州議会の決議は今後の(日本国内含む)反日勢力のプロパガンダにさらなる弾みをつけるに違いない。

 決議案では、慰安婦徴用は当時の日本政府の関与した「20世紀最大の人身売買の1つ」とされ、人権保障に関する条約などに違反しており日本政府は歴史的/法的な責任を取り公式に謝罪し、すべての元慰安婦の女性と遺族らに賠償するべきだとされている。

 痛恨の極みであるのは本決議案が河野談話(平成5年、河野洋平官房長官(当時)が慰安婦本人の意思に反した募集を認めたもの)や村山談話(平成7年、村山富一首相(当時)が「従軍慰安婦」への償いを「誠実に対応して行く」としたもの)に言及した上で、「過去数年間、日本の政治家らの一部に政府見解を希薄化、無効化する声がある」「学校教育でも悲劇を矮小化する動きがある」と批判し、是正を要求していることである。後者の是正要求などは内政干渉の類だが、ともあれ政界における河野・村山の軽率な妄言がさらにプロパガンダを加速させ、
我が国の品格をここまで貶めてしまったのである。

 我が国を貶めるオピニオン・リーダーたちの妄言に惑わされ「日本が過去に行った悪いこと(この真偽こそが重要であるが)についてちゃんと謝ればアジア諸国との関係も良好に」などと考えがちな観念的平和主義者の希望とは裏腹に、国際関係は悪質な宣伝戦が土台となっていることは言うまでもない。

米下院の対日非難決議問題が噴出した際、ワシントン・ポストに意見広告(本年6月14日付)を掲載した作曲家のすぎやまこういち氏は「中国をはじめとする国々の反日プロパガンダに対抗するには、日本はオピニオンではなくファクト(事実)を武器に対抗しなければならない」(『WiLL』8月号)と述べる。であるならば我々は草の根からさらにその「ファクト」を日本中もとい世界中に広め浸透させるという、
国家の尊厳を守る宣伝戦略を展開しなければならない。

一人でも多くの人間に事実を理解してもらうために、
心ある日本人は自らができることを行う必要がある。日本を貶めんとする恣意的な「オピニオン」が跳梁跋扈するのをこのまま許していては、日本という国家に未来はない。この宣伝戦は、日本人が自国を守る意志をもてるかどうかの試金石である。

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