12月20日 婦人の気風

 国家が、男性が、女性に渇望する至極のものは、あくまでもゆかいしい心情であって、決して智識や、技術や、職業的活動などではない。なまなましい現実の必要に眩惑(げんわく)して軽率に女性の男性化を促すようなことをすれば、男性や国家への協力に似て、実は恐るべき荒廃を惹起するであろう。

没我の愛、そこから輝く叡智と勇気、こまやかな心づかい、かいがいしい働き、ゆかしい礼節、恩讐を越えた信仰、そういう心情のゆたかに養われた妻や母が一人でも多くなってこそ、疲れ荒んだ世の男性も救われる国家は興隆し、外国も(なつ)くであろう。

             経世瑣言