内外無別 

「内外無別」とは、内と外との区別のつかぬ、自分の心内と心外、家庭の内と家庭の外、国内と国外の区別がないということです。 

今日の日本は正にその通りですね。

「兄弟内に(しょう)(せめ)げども、外その()を防ぐ」 

と申しますが、その意味で幕末維新の日本人は偉かったと思います。 

アメリカは勿論のこと、イギリス、フランス、オランダ、ロシアに至るまで、それぞれ国内の佐幕派、勤皇派に働きかけて誘惑しました。 

然し、感心なことに両派とも外国に頼ることを厳として拒否しました。これは大変立派です。 

ヨーロッパの歴史を見ますと、外国の政策に乗ぜられておるか、或いはそれを悪用して事態が一層紛糾しておる、と言った例が殆どであります。 

これをよく実証しておるのがフランス革命です。ルイ十六世が宮殿を逃げ出したのが辛亥の年であり、これを捕えてギロチンにかけ、あの惨憺たる恐怖政治を始めたのが(みずのと)(うし)の年からでありますが、彼等は目的の為に手段を選ばず、外国勢力でも何でも利用しておる。利用するというよりは、寧ろ外国勢力によって操縦されております。 

安岡正篤先生の言葉