アメリカへの資金提供を拒否せよ
欧米、中でもアメリカの銀行・証券が大揺れに揺れている。
主要銀行・証券損失額、
モルガン・スタンレー損失― 約1兆600億円。
中国の国有投資会社「中国投資」から約5,650億円の出資を受け入れて資本補充した。
シティ銀行グループの損失 1兆2600億円。
シティはサウジアラビアから資本投入を受けたが金利は11パーセントである。
UBS(ユニオン・バンク・オブ・スイス)損失 1兆1000億円
UBSは、シンガポールとアラブの政府系投資ファンドから資本投入を受けるが金利9パーセントである。
驚くべき高い金利での導入資金である。シティとかUBSのように超一流ブランドがこのような高い金利を支払うのだから、それだけで現実の深刻さが分かろう。
これは、世界の金融市場で、資本調達がいかに深刻かということの証左である。
ゴールドマン・サックス
これらの金融機関の中で、流石というべきか、憎たらしいが、このサブプライム商品を、先物安売りの「逆張り」をして1兆円の利益を上げている。
抜け目の無い、禿鷹のような獰猛さを感じるが、合法であるが、このような経済は大勢の大衆の為にならぬ。一部の狡賢い連中に巨利を貪らせるのは実に腹立たしいではないか。アメリカ流市場経済は破綻して欲しいものだ。
サブプライムに関する、世界全体の銀行損失は44兆円程度になると言う。
追い込まれた欧米金融機関
欧米の金融機関はアラブとかアジアを見下していたが、アングロサクソン以外の支援を求めなくてはならぬ所まで追い込まれたのである。
欧米の銀行・証券は、これから自力で損失を処理し自己資本強化が必要だが、長いプロセスを要しよう。
勝手なアメリカという国
アメリカのポールソン財務長官は自ら、その不良債権買取りの為に、関連商品のPKO(価格維持政策)に必死である。
実に、アメリカは自己都合の勝手な国である。極めて矛盾に満ちたアメリカのやり方である。そして、日本のメガバンク三行に平均5500億円の拠出を要求している。何故なのか?
思い出して貰いたい、
日本のバブル崩壊時、
1. 日本は、巨大な不良債権を、一部の銀行が海外で株を売却した以外は、「基本的に日本国内で問題を解決」した。日本の銀行は、自己資産総計100兆円以上をそれに充当し不良債権を解決したのである。
2. その時、アメリカは「日本のPKO(価格維持政策)を強く非難した。資産価格を市場が均衡する迄落とした上で、それから不良債権処理を進めよと騒ぎ立て、日本を追い詰めた、竹中平蔵大臣もその議論を主張したのである。
3. 日本は、国内預金金利を殆どゼロにして、銀行に不良債権を消滅させる自己犠牲を支払ったのである。自らの力で不良債権を無くしたのである。勿論、国より一時的に資金の導入をしたが、全額返済した上、利益を国は得ている。
4. アメリカの現在の預金金利は、大体4-5パーセントである。この金利をバブル時代の日本と同様に殆どゼロにして利益の捻出したらいい。国民に負担させ自己捻出すべきである。
総括
今回は、欧米の金融機関が暴走したのである。特にアメリカの金融機関が、特別不良な債権を分別し、証券化し、他国に販売したのである。このアクドイ手法は、当初からその証券化発案者は分かっていたのであろう。
狡賢いアングロサクソンバンクの自業自得である。
日本のメガバンクは金融支援など少しもする必要は無い。株主として資金提供に異議を唱える。
平成19年12月19日
徳永日本学研究所 代表 徳永圀典