1231日 正しい姿勢を その二

 しかし人間が横になっておったのでは第一に手が働かず、頭が働かない。人間の文明はまず手を解放したことであり、次に頭を解放したことである。よく学者が冗談に言うことですが、人類文明は前足より始まる。前足を手にしたことが人類文明発達の因である。四つ這いになっていたのが立ったのだから、いろいろな技術・知能というものが発達して来た。処が天二物を与えずで、いまの力学の法則から言うとこの姿勢は少し無理なのです。大体、細い棒みたいなものを二本立てて、そこに骨盤を乗せてその上に石を積み重ねたような脊椎というものを立て、その上に笠の台を置いてあるのだから、全体として見れば、へなへなした非常に具合の悪いものです。そして滑ったり転んだりして人間は時々腰を痛め、脊椎が湾曲したり副脱臼を起こしたりしてすぐ故障を生ずる。人間は20才を過ぎるというと、もうどの程度かは腰に異常があります。「腰砕け」という言葉は名言であります。人間の不健康、あらゆる病気がどれほど腰に原因するか判らない。高血圧だの脳溢血だのと言いますが、ああいうのは大体腰抜けなのです。腰の整形外科か何かで、按摩なり、カイロプラスチックなりで腰の手入れをしますと、そして脊椎を正しくしますと、自然あんなものは消滅する。80%は消滅してしまう。だから、病院に駆け込むよりは、少し脊椎の矯正、腰の矯正をした方がどれくらい療養になるか判らない。   暁鐘